2010年11月13日土曜日

『イギリス近代史講義』 (講談社現代新書)

BLOGOS を見ていたら、アクセスランキングのところで、池田信夫氏がタイトルにある本を紹介している記事が出ていたのですが、ちょうど私も今日読み終わったばかりなので紹介します。

著者の川北稔氏は、ウォーラーステインの近代世界システム論を紹介した西洋史の泰斗ですので、本書も当然内容は大変高度ですが、大学での講義が元になっているようで、Amazonのレビューではそのために重複や説明不足などがあり残念であるとされていますが、入門書と言う観点では、十分過ぎる内容であり、基本的な内容をきちんと押さえており、不足を感じる方には、巻末に「さらに学びたい人のために」とする文献案内がついているので、それをもとに他の書籍を当たれば良いのです。

【目次】
プロローグ 歴史学は終わったのか
第一章   都市の生活文化はいかにして成立したか――歴史の見方
第二章   「成長パラノイア」の起源
第三章   ヨーロッパ世界システムの拡大とイギリス
第四章   世界で最初の工業化――なぜイギリスが最初だったのか
第五章   イギリス衰退論争――陽はまた昇ったのか
エピローグ 近代世界の歴史像

本書の帯には、「大英帝国の興亡から現代日本を考える」と書かれています。本書はここ最近の社会情勢を、過去の事例を参考に考えてみようという講義本です。私が日頃から言っている、歴史に学ぶという視点で書かれている本ですので、私的にはとにかくオススメの本です。

プロローグで、センター試験で世界史受験者が地理に抜かれ、世界史が受験生に嫌われているようだ、と書かれているが、この現象は日本史でも同じだと思います。
受験生ならほとんどの人が知っている、山川出版社教科書、『詳説世界史B』や『詳説日本史B』は400ページほどあり、地理の教科書などに比べても、文字の大きさが小さいということで、かなり苦労することが予測されるため、人気がいまいちです。地理と比べると、日本史や世界史の方が受験で使える大学が多いため、仕方なく学ぶ高校生が多いです。
世界史はギリシア・ローマから始めるので、人名に「~ス」が付くものが多く、それが混乱の原因となって、世界史嫌いが増えているようです。「カタカナ、わかんない」と行ってくる生徒もいますが、「君たちねぇ、カタカナって日本語だよ。」というと、「日本語、ムズイし、ちゃんと使えないから。」と言ってはばならない生徒もいますので、人気が衰えるのも仕方がないご時世のようです。

しかし、昨今の社会情勢だからこそ、歴史を学ぶ必要があるのです。その意味で、本書は高校生には難しいですが、決して理解出来ないものではありませんので、値段も760円(税別)と手頃なので、歴史好きな生徒には、おすすめです。また、もちろん大学生ならば、ぜひ読む価値があります。

 

 



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