2011年1月15日土曜日

2011年度大学入試センター試験 日本史Bについて

今日1月15日は、センター試験1日目で、公民、地理歴史、国語、外国語の試験が行われました。

公民、地理歴史の問題のうち、まずは日本史Bから目を通しましたので、ちょっとコメントします。
なお、問題は大学入試センターのHPにアップされています。

第1問は、「明かりと燃料」をテーマにした通史で、大学生の姉と高校生の弟の会話による出題となっています。高校日本史の授業では、このようなテーマの授業はほとんどやらないと思いますが、設問自体は社会経済史の基本的な問題がほとんどなので、それほど難しい問題ではないと思います。
ここ数年、この問題のような会話形式の出題が続いていますが、実際にこのようなやりとりをする高校生がいるのでしょうか?
6問中、問1・2は古代、問3は中世、問4は近世1つ、近現代1つ、問5・6は近現代の出題でした。

第2問は、原始・古代の政治・宗教に関する問題となっていますが、実際には原始からの出題はなく、古代の文化・社会経済史からの出題でした。
問1・2は古墳時代の文化史、問3・4は奈良時代からの出題で、特に問3は写真と語句の組み合わせの問題ですが、サービス問題なのではと思えるくらい、誰が見てもわかると思われる出題です。問4も史料を読んで、三世一身の法であることを答える問題ですので、難しくないと思います。問5・6は平安時代からの出題ですが、これも標準的な問題です。

第3問は、中世の政治・社会・文化に関する問題で、Aが問1が平安時代後期、問2が鎌倉時代、問3が室町・戦国時代です。問3は問題文を読んで、その所在地を地図で示している記号との組み合わせですが、Xは寧波、Yは対馬なのですが、最近の高校生は地図が苦手なので、仮に対馬は分かっても、寧波はわからない生徒もいると思います。ただ、ここで使われている地図は数年前にも同じ地図が使われたことがありますので、過去問をやっていれば大丈夫でしょう。Bは『洛中洛外図屏風』がリード文には出てくるのですが、各問とはからんでいないので、『洛中洛外図屏風』と見てパニクらなければ、標準的な問題です。

第4問は、近世の外交・政治・社会に関する出題です。政治的な出題がほとんどですし、Bで2つの史料が出てきますが、標準的な問題だと思います。

第5問は、近代の問題ですが、金子堅太郎を題材とした政治・経済の問題です。問2で、1880年代後半から1890年代の企業勃興の、コンツェルンについての出題があったが、高校生はこの辺を苦手とする生徒が多いように思われますので、この問題は難しいと感じた生徒は多かったのではないかと思います。しかし、他はそれほど難しくないと思います。

第6問は、日露戦争後から戦後までの経済・社会に関する問題です。リーマン・ショック以降の現代を反映したのか、問3は関東大震災後から金融恐慌、昭和恐慌が出されました。問5・6・7・8は戦後からの出題で、内容が経済史なので、やや難しいと感じた生徒がいたのではと思います。

結果的には、全体として、標準的な問題が多かったように思います。政治史に比べ、経済・文化史が多かったのが特徴ですね。経済・文化史は苦手としている生徒は多いのではないかと思いますが、それほど難しい問題ではないので、平均点はそれほど悪くないと思います。

次回以降のエントリーも、センター試験の公民・地理歴史に関して、数回にわたってコメントしていくつもりです。

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