2011年3月7日月曜日

今年の高校入試の社会科で感じたこと

今日3月7日は、静岡県の高校入試の採点日でした。当然、細かい話はできませんが、採点をしていて感じたことを、少しコメントします。

中学校の社会科は、歴史的分野、地理的分野、公民的分野に分かれていて、高校入試もそれぞれの分野から出題されています。
入試問題は新聞に出ていますし、大手の進学塾のHP(佐鳴予備校のHPに掲載分はこちら)にもアップされていますが、今年の問題は、設問に対する提示資料が適切ではなかったものがいくつかあったように思います。

中学生レベルですと、どうしても提示された資料に引きずられた解答になってしまう傾向が強いように思います。もしかしたら、塾などでは、資料にヒントがあると教えているのかも知れませんが、解答として求めているものと、資料に書かれている内容とに多少の誤差があり、資料をそのまま読んで答えると、解答が違ってしまうものが多かったように思います。
つまり、中学生は資料から読み取ったものを、自信満々に解答したのに、実際にはバツを貰っている、もしくは部分点のみという状況になってしまっているものが多かったように感じました。

これは、当然出題者側の問題ですが、ただ中学生も設問に対して、何を答えるのが適切なのかがいまいち分かっていないのではないかと思うのです。つまり、設問を読んでも答えとして求められていることが十分理解できず、そのためにヒントかもしれないと考える資料を使って答えれば正解になるはずだと考えたかもしれないということです。

実は高校生でも同じなのですが、要は問題文を読み解く力が不十分なために、正確に答えられないのではないかと思うのです。つまり、読解力の問題、日本語の問題なのではないかということです。

昨年話題になったPISAで、読解力が向上したとされましたが、実際の現場ではその実感はあまりありません。学力の高い生徒は、読解力があるからこそ、何を答えとして求められているのかを正確に読み取ることができるために、正しい答えを導いているのだと思います。それゆえに、成績が良いのではないでしょうか。

「ゆとり教育」の弊害として、学習量を減らしたことにより知識量が減少したとする見方があります。ですから、新しい学習指導要領のもとでの教科書は3割増しとなっているわけです。
確かに知識量の絶対的不足もありますが、日本語を読み解く力、教科で言えば国語的な力の不足も問題としなくてはいけないのではないかと感じた次第です。

もうひとつは、やはりもっと歴史を、特に近現代史を学んで欲しいということです。
朝鮮半島を植民地としていったあたりの問題が出題されていたのですが、どうもそのへんの知識がしっかりしていないと感じる解答が多かったのです。
昨年は朝鮮併合100年でしたから、中学校でも多少は例年よりも話をしっかりしたのではないかと想像していたのですが、もしかするとそれほどでもなかったのかもしれません。

大学入試センター試験での近現代史重視の傾向が強まっている中で、中学校と高校での近現代史に関する知識を学ぶ量のギャップが激しいのではないかと思います。
高校の歴史の教員としては、とにかく近現代史をもっとやらなければと感じているのですが、その当たりのことを十分に踏まえないといけないなぁと思いました。
まぁ、現代社会や政治経済などでも、近現代史とからむ部分がかなりありますので、その辺の授業でも歴史的知識を意識した授業展開が必要なのかも知れません。ただ、そうするとますます難しい授業になってしまうでしょうが(笑)

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