2011年3月2日水曜日

『週刊金曜日』2011年2月25日 836号

特集は「学校は会社ではない!」です。

教育現場に会社的な考えかた、ビジネスの手法が次々に導入され、教育が「商品」「サービス」になってしまっています。今週に特集はそれに疑問を投げかけるものです。

実際の教育現場にいる人間としては、ある程度会社的発送を取り入れることは、決して悪いことではないと思っています。マネジメントの手法は、教育現場でも役に立つこともあります。昨年話題になった『もしドラ』は、リアルに現実の学校現場のような錯覚すら感じるもので、いかにもありそうな話だからこそ、なおさら話題になったのだと思っています。

ただし、何事も行き過ぎはいけません。何でもかんでも、ビジネスの手法が良いとは限りません。「教育」は、ビジネスとは違って、直ぐに成果が出る部分とそうでない部分とが混在しています。それを考えないで突っ走れば、どこかに矛盾が生じてきます。

今日のように、先行きが見えない社会で、生徒たちに頑張らせようとしても、いくら頑張っても報われない部分が多いように見えてしまう世の中になってしまっていますので、勉強に向かわせるのが難しいのが現状です。ですから、都立高校のようなやり方が広まりを見せているのもやむを得ないことです。しかし、本当はそうじゃないと多くの教員は思っていると思います。

現場の教員だって、つらいんです。「本当の教育」は、今のような現場の状況とは違うと思っていても、社会の大きな流れが、学校に対してそう要求されているのですから、ある程度はそれに従わなければならないと自分自身に言い聞かせながら、しかしその中でも「本当の教育」のあり方を模索していくわけです。

教育評論家の尾木直樹氏がテレビのバラエティー番組で人気になっているのは、ちょっと違うような気がします。今週の『週刊金曜日』でも、尾木氏のインタビュー記事が出ていて、その意見は的確なことを述べているのですが、デレビでの「尾木ママ」の受け止め方には、やや疑問です。それを売りにしてる芸人ならばともかく、尾木氏は教育評論家として代表的な人物なのに、どうも「イロモノ」扱いされているような部分を感じてしまいます。
「自分はお客である」との意識を持つ保護者が、学校教育に対してなおさら、間違って考えを深めてしまう可能性があるように思います。

静岡県では、明日から公立高校の入試です。来年度の新しい学校への第一歩でもあります。ちょっと遅いですけど、このような時期にこそ、教育のあり方を考える必要があります。ただ、残念ながら実際には入試業務が忙しくて、考える余裕はありませんが。

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