2012年1月8日日曜日

シノドス・ジャーナル「「一般意志2.0」を現在にインストールすることは可能か? 東浩紀×荻上チキ」を読んで

先月4回にわたって掲載された、東浩紀氏に荻上チキ氏がインタビューした記事です。

「一般意志2.0」を現在にインストールすることは可能か?(1)東浩紀× 荻上チキ」 




このインタビュー記事自体は正月休みの間に読んでいて、要所要所で気になる指摘があり、このブログでも紹介したいと思っていたところだったのですが、まだ『一般意志2.0』を買ってもいないのでちょっと躊躇していたんですが、今日の毎日新聞と中日新聞の社説を読んで思うところがあったので、インタビュー記事の一部分に対する指摘となりますが書くことにします。

で、その新聞社説ですが、ともに地方分権に関する話題です。

2012 激動の年 多様な地方へ舵切る時」(毎日jp)


これと、東氏のインタビューとにどんな関連を感じたのかというと、インタビュー記事の最終回の次の部分です。

■「つっこみ力」に支配された言説空間

東 でもね、たとえば10月にある建築関連のシンポジウムに出たんですね。それは3.11以降の社会とか、東北復興などをテーマにしていたんです。

まあそのシンポジウム自体はおもしろかったんだけど、ひとつ気にかかったのがこういうことで。ぼくはその場で、「日本はかつて、国土計画などの大きなビジョンを持って高度成長を果たした。だからいまの日本にも大きなビジョンを語る場が必要だ」と話したんですね。そうしたら、すぐに出てくる反応が「ビジョンを語ること自体が危険ではないか」というもの。これはもう条件反射的に出てくる。それは一緒に登壇していたある年配の方からの意見だったんだけど、質疑応答でも「ビジョンは一人ひとりが持っている。だからビジョンとは複数のものであり、一つのビジョンを提示するというのは……」という質問がすぐに出てきた。

なんかね、もういいよ、という気持ちになるんですよね。大事なのはビジョンの中身について語ることなのに、これじゃいつまでもそこまでいかない。「ビジョンをつくることは本当に倫理的なのでしょうか?」で、ぐるぐるぐるぐる回転している。これじゃあ、この国は麻痺しつづけると思いますよ。だって「こういう国にしたい」というところまでいかないんだもん。「こういう国がいいのではないかと議論する、そのことの是非についてまず議論しましょう」となる。」



「 東 とくに「思想」などと呼ばれているものは、同時代に「それが正しい」と論証できるようなものではなかったりするから、「つっこみ」はあまり役に立たないと思うんですよ。

たとえば日本のTPP参加の是非といった論点でも、最終的には思想的な判断が必要だとぼくは思うのね。日本という国がこれからどの方向に向かうのかという意思にもとづいた判断、それでしかないと思う。参加の損得に関してはさまざまな指標のとり方があるし、未来の予測は結局はできないなかで、国の将来について決断するわけじゃないですか。

あまりいい喩えではないけど、たとえばここに二人の異性がいるとして、この人と結婚すればこういう人生になる、こっちの人とはこういう人生になるだろう、で、どっちが好き? というのが決断なんですよね。それは本人の選択でしかない。つまりその選択をさせるものが思想なんですよね。そして結果は歴史が決める。どっちを選んだとしてもつっこむポイントは無限にあるに決まっているんです。国レベルであってもそうなんですよ。

ところがいまの日本の場合、「自分たちが何を望んでいるのか」という議論をまったくしないまま、損得の議論を非常に細かく積み上げている状態で、これでは国全体が麻痺するでしょう。

東氏の指摘の通り、現在の日本の政治は大きなビジョンがなくて麻痺している状態なんだと思ったわけです。ビジョンがないまま、ダラダラとなんとなく来ていたものが、「3.11」により、はっきりとその問題点が目の当たりになったというわけです。東氏が例としているTPP問題もそうでした。ビジョンがないために、進歩性の無い、議論と呼べるレベルにも及ばない議論をだらだらとしていただけなのです。
橋下市長らがあれだけ元気なのは、そのような中で大きなビジョンを掲げているからこそなのだと思っています。
一部でビジョンを語ること自体を議論する向きがあるように思うことはあります。しかし現実には大きなビジョンが求められているのだと思います。橋下市長らがその良い証拠ですし、毎日や中日の社説で、地方分権の話題がこれらの動きを受けて語られるのは、それを求める動きだからなのです。
ですから、もっとこの国をどうしていきたいのかといった語りが、いろいろな場所で繰り広げられていくことが大切なのだと思うのです。それが、日本全体で活発に行なわれるようにならなければ、日本の再生もあり得ないと思います。

国の議論が進まないなら、地方が率先しようではありませんか。でなければ、この国の未来は描けない気がしてなりません。」と中日の社説に書かれています。そういう意識を人々が持ちようになっていくことが必要だと思います。
その意味で、今日の毎日と中日の社説は良い社説だと思います。


ここまで書いてきて、このエントリーのタイトルは再考の余地があるかなぁとは思います。ただ、東氏のインタビュー記事を読んでいたからこそ、今日の社説が引っかかったのですし、東氏のインタビュー記事は、他にも気になる指摘もあるので、それ以外のポイントに関しては、『一般意志2.0』を買って読んでからにしたほうが良いかなと思います。まだ買うかどうか決めてはないですけど(^_^;)

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