財団法人日本漢字能力検定協会の情報誌だそうです。職場で、各クラスに1冊ずつ配られていました。一時期、少し問題があった漢検ですので、PRのためでしょうね。ただ、なんだかんだ言っても、英検と並んで、短大へ進学しようという女子生徒には人気の検定です。
巻頭には、京都大学総長松本紘氏と漢検理事長池坊保子氏との教育トークなのですが、その見出しが、「大学へ入ってからも伸びる子を育てよう」だったので、気になって読んでみた次第です。
「大学に入ってからも伸びる子」って? 私が目にする生徒は、大学に入る前に、すでに伸び悩んでいるのに、そんなのあり?という気がしたのですが、松本氏の意見は、「小さいうちから、将来あらゆることに対応できるような頭脳トレーニングをするべきである」ということのようです。そりゃ、おっしゃるとおりですよ。そういう子なら、大学に行っても伸びるでしょうが、それはごく一部の人間でしょうね。
今、現実の大学や高校、中学の子たちは、そういう訓練どころか、「学校5日制」やら「ゆとり教育」やらに振り回されて、疲れ切った義務教育の先生方が模索していく中で、でも結局十分なトレーニングができないまま、高校や大学に進学してしまった子どもたちですから、大学の先生方も困っているというのが現実なわけです。
そんなことを考えてながら読んでみると、この情報誌、誰を対象としたものなのか、よくわからないですけど、結構おもしろいですよ。 まあ、結局は漢検のPRなのですけどね。
もう一つ、おもしろかったのは、教員・保護者向けセミナーの抄録が載っているのですが、そのセミナー抄録の第2部「漢字力・国語力向上のための「辞書引き学習法」のススメ」と題した、中部大学現代教育学部の深谷圭助氏のものです。
付箋がこれでもかというくらい貼られた辞書の写真が載っているのですが、これ、ものすごく使いにくそうと、文章を読む前に気になってしまいました。貼り込みでデブになったモレスキンの比ではありません。明らかに、辞書の倍の厚みの付箋がはみ出しています。深谷氏には申しわけないですけど、これ、いったいなんなんでしょう?って感じです。
抄録を読むと、深谷氏は小学生に国語辞典や漢字辞典を活用する指導法をとられているということで、「知っている言葉」を辞書で引き、意味を確認したら付箋の上部に調べた言葉を書き、通し番号を書いた付箋を文字が隠れないように調べたページに貼り、それを繰り返す学習法なんだそうで、付箋がたくさん貼られるにつれて辞書の厚みが増し、子どもたちは「私はこれだけの言葉を知っている!」という達成感を持つことができる(!!)ということなのだそうです。「辞書を常に手の届く場所において、興味を持った言葉があればその都度辞書を引かせるようにしましょう」ということのようです。
確かに身近に辞書があればそれに越したことはないですが、高校になると、入学時に電子辞書の案内をしているこのご時世で、今の子が重たい紙の辞書を常に手元に置いておくでしょうか?(私は電子辞書をすすめることは、あまりいいことだとは思っていませんが、でも便利ですよね。ただ、学生が勉強のために使うのならば、やはり紙の辞書のほうが良いと思いますが。)
それに最初に言ったように、付箋が増えてくるとだんだん使いづらくなりますし、持って歩くのも不便ではないでしょうか?これで実際、どういう成果が出ているのか、興味津々です。こういう子たちは中学、高校へ行っても、紙の辞書、使い続けるんでしょうか?追跡調査とかしているんですかね?
私は決して批判しているわけではありません。単に知的好奇心で、おもしろがっているだけです。結局これ、誰が読んでいるんでしょうね?(あ、私が読んでますね。こうやって、ブログで取り上げていることで、良い宣伝になってしまいますね。別にそういう気は全くないですけど。でも良かったら、情報誌に原稿書かせてもらえないかなぁ(笑))
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