2010年10月19日火曜日

『週刊エコノミスト』2010年10月19日号「危険な中国」を読んで

昨日のブログで触れた、佐藤優氏の記事について、気になって今週号を確認してきました(立ち読みですけど(笑))。やはり、佐藤氏の提言している勉強法の話の続きが載っていましたので、気になる方は、『週刊東洋経済』2010年10月23日号を御覧ください。昨日18日に発売になっていますので。

 このところ円高のニュースが飛び交っているので、授業で話題にするネタを仕込むために、『週刊エコノミスト』をよく読むようになりました。他の週刊誌(『週刊東洋経済はもちろん)も、経済ネタは載りますが、『週刊エコノミスト』はここ1ヶ月は毎週、為替や金融関係をメインで載せています(まあ、タイトルがエコノミストですから、当たり前といえば当たり前ですが)。おかげで、為替関係のネタには強くなった(ような気がするだけ?)と思っています。

ただ、今日取り上げるのは、メインの「さらに財政出動」ではなく、「危険な中国」と題された、尖閣諸島問題の話です。
今朝方のテレビで、「習近平(シー・チンピン)国家副主席(57)を軍の最高指導機関、中央軍事委員会の副主席に選出することを決めた。軍の人事を握る要職に就いたことで胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席(67)の後継者となることが内定した。」というニュースが流れていましたが、保守派や軍部から支持されている人物のようなので、確かに、今後の中国はこの記事のタイトル通りになっていくのかもしれません(今はすでにその始まりかも、ですが)。

ただ、それと同時に気になるのは、中国人船長釈放の背景には前原外相に対してアメリカからの圧力があったということです。それも一応、アメリカとの「尖閣諸島には安保条約第5条が適用される」という交換条件のもとで、釈放することにしたにもかかわらず、アメリカの会見にその言葉はなかったという点は、安保についてやはり考えなおさなければならないのではないか、アメリカとの関係を考えなければならないのではないか、と思わざるを得ません。普天間問題のときにも同様に、安保を再検討すべきであるとの議論がありましたが、その後の首相交代や円高問題でウヤムヤになっていました。ただ、今回の問題を見ると、政府関係者は安保について再検討しようという意志はないように思われます。しかし、今回はある意味アメリカに裏切られ、中国にも弱さを見せてしまったわけで、日本の政治の未熟さを、今更ながらに感じてしまった事件だったワケです。
「国内法を適用する」という前原氏のとった戦術は、一歩間違えれば戦争になっていたかもしれないほどの問題です。正直、民主党は中国を分かっていないですし、中国とのパイプも持っていないように思います。
習近平国家副主席が胡錦濤国家主席の後継にほぼ決まったということは、鄧小平路線の終わりを意味するわけです。ですから、なおさら中国を知らないと、今後もっと大きな問題が起こり得る可能性は十分にあると思います。

同じ『週刊エコノミスト』2010年10月19日号の書評欄に、国際日本文化研究センター名誉教授の今谷明先生が(学生時代、授業を受けましたので、先生と呼ばせてもらいます。あの時は、足利義満の話をしていました)、『倭国伝-中国正史に描かれた日本』(藤堂明保・竹田晃・影山輝國全訳注、講談社学術文庫)の書評を書かれています。「中国から日本はどう見られていたか」と題した書評の中に、

「(前略)日中両国間には古くから互いに偏見があり、為政者や知識人に限っても、それを抜け出し、自由に自己認識、相互認識を行うことがいかに困難であるか。今もそれを思い知らされる、という点で本書の復刻のメリットは大きいというべきだ。

と、書かれています。尖閣諸島問題を意識して、この書評を書かれたのかはわかりませんが、まさに中国との問題は、この指摘の通りだと思います。『倭国伝』は古代から近世までの文献を収めたものなのですが、中国問題を考える上では、読んでおくべき一冊だと思います。
ただ、菅首相や前原外相は読まないだろうなぁ。政治家こそ、こう言うのを読むべきだと思うのですが。政治家に限らず、最近の日本人は、とにかく歴史学ばない、歴史学ばないですから。歴史を学ぶことはとても大切なのに。
みなさん、もっと歴史を学びましょう!!

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