様々なところから来る文書やお知らせを掲示してあるホワイトボードをふと見ると、目に飛び込んできたのが、タイトルの文書。
文部科学省初等中等教育局からの依頼があったので、所属職員に周知を依頼するという、県教委の教育総務課長名 で出された平成22年9月28日付け文書で、元の文部科学省からの文書もタイトルは同じ。その内容を一部転載すると、
我が国国民の北方領土への入域については、「我が国国民の北方領土入域問題について」(平成元年9月19日閣議了解)等に基づき、政府全体として、これを行わないように国民に対して要請してきたことろです。
今般、一部の我が国国民がロシアの出入国手続に従って北方領土に入域」した事実が確認されたことを受け、別添のとおり、内閣府(北方対策本部)及び外務省から改めて入域の自粛について関係機関等に周知するよう依頼がきておりますので、お知らせします。(後略)
というもので、別添資料である内閣府及び外務省からの通知は、9月3日付け内閣府北方対策本部審議官及び外務省欧州局長名の、文部科学省大臣官房長あての通知で、内容を一部転載。
我が国国民の北方領土への入域については、政府は、「我が国国民の北方領土入域問題について」(平成元年9月19日閣議了解)を始めとする累次の閣議了解により、これを行わないよう国民に対し要請してきたところです。
今般、一部の我が国国民が企業活動及び観光を目的として、ロシアの出入域手続に従って北方領土に入域した事実が確認されました。このような行為は、我が国固有の領土たる北方領土に関する国民の総意及びそれに基づく政府の政策と相容れないものであり、国民に対し、この問題に対する正しい理解を求める必要があります。(後略)
つまり、この夏どこかの旅行会社が、ロシアの出入国手続きに従って、北方領土の観光ツアーか何かで北方領土へ行ったのは、北方領土の支配権がロシアにあることを認めるような行為であるとして、政府が怒っているわけですね。だから、文部科学省を通じて、各学校へも北方領土への入域を自粛するように周知する文書を出したというわけでなのですね。
このような文書が高校にまで来ているとうことに驚いたのと同時に、いったいどれくらいの人間がこの文書をみているのだろうかと。たぶん、このような文書はいままでも出され、学校にも通知されてきていたのだろうけど、全く気がつかなかったです。
最近、ロシアの メドヴェージェフ大統領が近いうちに北方領土に行くというコメントを出していたのは、基本的には尖閣諸島や竹島の問題あたりが大きな原因なのでしょうけど、この文書の内容なども原因の一つなのだろうか。細かいことはわからないが、この文書の内容、ちゃんと周知されていないだろうなぁ、きっと。今回、ブログで取り上げたことで、多少周知に貢献したかなぁ。
ちなみに、私は北方領土返還を強く要求するとか、そういう政治的なことにはあまり興味はありません。ただ歴史を学ぶものの端くれとして、北方領土問題は避けて通れない話題ですし、なにより最近の日本の若者は(若者に限らないかもしれませんが)、歴史を知らなすぎるといつも思っていますので(この夏NHKで放映した日韓併合100年に関しての、日本と韓国の大学生の討論を見た方は、そう感じた方が多いのではないかと思いますが)、近いうちにネタとして使ってみようと、そう思ったわけです。
なお、平成元年9月19日の閣議了解の文書も、私は初めてみたので、以下に内容を転載。
戦後40年以上を経た今日も我が国固有の 領土である北方領土のソ連による不法占拠が継続しており、政府は、国民の総意及び国会の関係諸決議に基づき北方領土返還を実現するための交渉を行っている。
このような状況の下で、最近一部の我が国国民がソ連当局の査証の発給を受けて北方領土に入域するという事例が見られたが、我が国国民がソ連の出入国手続に従うことを始めとしてソ連の不法占拠の下で北方領土に入域することは、我が国固有の領土たる北方領土に関する国民の総意及びそれに基づく政府の政策と相いれないものである。
このことについて、我が国の多数の遺族が過去に10年間にもわたり人道上の問題である北方領土墓参の中断を余儀なくされたことが想起されるべきである。
以上をかんがみ、政府は、国民に対し、北方領土問題の解決までの間、このような北方領土への入域を行わないよう要請することとする。
また、これら以外にも平成3年10月29日閣議了解(平成12年12月26日一部改正、平成13年1月6日施行)、平成10年4月17日閣議了解(平成12年12月26日一部改正、平成13年1月6日施行)、平成11年9月10日閣議了解のそれぞれの文書も添付されていましたが、転載は省略しました。
0 件のコメント:
コメントを投稿