2011年9月28日水曜日

記者の目:地上波民放から消える連続時代劇

タイトルは、9月20日の毎日jpに出ていた記事です(詳細はこちら)。

「水戸黄門」が現在放送中の第43部(12月まで)で終了することが発表されたことを受けての記事なのですが、これによって地上波の民放から連続時代劇が消えることになり、NHKの地上波も「歴史劇」の要素が強い大河ドラマだけとなるそうです。

確かに、テレビで時代劇をほとんど見かけなくなりましたね。視聴率の低下がだったり、若者が見ないからとか、制作費がかかるとか、要因は様々あるのでしょうが、本当になくなってしまっても良いのかという疑問は、私も感じます。

記事では、地上波から連続時代劇が消えることの問題点として、「一つは時代劇が表現していた日本人の倫理観や美意識がテレビから消えていくのではないかという疑問、もう一つは時代劇を支えてきた撮影所の技術が途絶えてしまう」という2つをあげていますが、それだけではなく、時代劇は「年配の人が孫と語り合える番組」であり、歴史を借りたホームドラマの要素が強いとはいえ、若者が歴史に触れる良い教材だったと思うのです。

今の高校生に歴史に関するイメージを語らせると、ほとんどがマンガやアニメからのイメージを語りますが、マンガやアニメは個人で読むものですし、個人の好みで読むものですので、読んでいる人間が限定されます。そのために、共通のイメージで語れないという現実があります。そのため、授業でも生徒のイメージが統一できませんし、知識の個人差がものすごく激しく、かつ局地的な知識しか持っていないという問題点があります。

その点時代劇は、時代が江戸時代に偏っているとは言え、見る場合には一人で観ることはあまり多くないでしょうし、テレビがついていれば、見ようと意識しなくても、意外と視野に入っているので、比較的多くの人間が、共通のイメージを持つことができるのです。授業でも、昔は水戸光圀や大岡越前、徳川吉宗などが登場する部分は、時代劇の話で盛り上がったものです。

記事では、「時代劇について、「義理と人情や、勤勉の尊さといった精神性は、戦後の高度経済成長を支えた。それは大震災後の今こそ、必要とされているのではないでしょうか。リアリティーが要求される現代劇に比べ、時代劇は人物の輪郭をはっきりと描け、生き方を純粋に凝縮して示せる」と主張する。」と書かれています。それはそれで一理あるとは思います。ただ個人的にはあまり積極的に賛同しませんが、「放送の中身について、もっと議論をしたいと思う。」ということに関しては、ぜひそうしていただきたいものです。

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