2010年12月31日金曜日

デジタル教科書について考える

今日12月31日の日経新聞WEB版に、「デジタル教科書、1人1台、授業風景を一変」という記事が出ています。

2015年までに全ての小中学生にデジタル端末を持たせて、デジタル教科書を実現しようとの構想で、記事には北海道の小学校での実験についての記事がありますが、実験で使っているパソコンは、タッチパネルや無線LANを備えていて、モニターはタブレット端末のように入力できるそうで、教科書とノートの両方の役割を果たしているんだそうです。

これだけ見ていると、こういう端末は便利だと思いますし、私としては欲しいものだったりします。教員も同じような端末を持つことになるわけですから、黒板も電子黒板で、入力データを黒板や生徒の端末に表示できて、これはかなり使い勝手があると思います(私などは字がヘタで、いつも生徒に文句を言われるので、電子黒板はいいですねぇ)。
まぁ、なんでも使いようなのですが、いろいろと可能性があって、おもしろいのではないかと思います。

ただやはり現場にとっては、慎重にならざるを得ないでしょう。静岡県でも、校務用として使用するために、一人一台パソコンを目指して試験運用を行っていますが、いろいろ問題点があります。県教委としては、管理しやすい体制を作りたいわけですが、そうするといろいろと面倒な制約が出てきます。教員としては、管理されること自体を嫌うムードもありますが、システム上、県教委が一元管理するのはやむ得ないとしても、データの保存やインターネットの使用制限があり、かなり面倒なのです。個人情報保護という点で仕方がないのもわかりますが、がんじがらめ過ぎて使いにくいものでは、校務の効率化とは逆になってしまう部分があるのです。

それ以外にも、教員でも意外とパソコンを使いこなせる人って、それほど多くないので、慣れるまでが大変でしょう。今までの状態に慣れている人間にとって、全く新しい状況はなかなか受け入れるのが難しいのは、どこの世界でも同じことです。

また小中学生がデジタル教科書になると、高校はどうするんでしょうか。高校からいきなり紙の教科書になると、今度は生徒の側が慣れていなくて、いろいろ問題が起こると思います。高校もデジタルにしたほうがいいでしょうね。
個人的にはおもしろそうなので使ってみたいです。ちょっと考えてみても、いろいろな教材が思い浮かびます。

他にも制度的な問題がいろいろあるわけですが、そのへんはどうにかなるでしょう。やはり問題は使う人間の問題だということになるでしょう。

明日から2011年ですから、2015年まではあまり時間がありません。本当に導入する気ならば、もっといろいろ試行して見ないと、2015年に実施するのは難しいのではないでしょうか。

なおデジタル教科書について、BLOGOSにも中村伊知哉氏が「デジタル教科書、普及の課題」と題してエントリーされています。こちらは大学の先生のエントリー記事なので、学問的な観点からの問題点について書かれていますので、こちらもぜひお読みください。

あと数時間で2010年も終わろうとしています。10月から始めたこのブログ、わずか3ヵ月ですが、ページビュー履歴が1000を超えています。全く誰にも知らせずに始めた匿名ブログなので、想像以上に多くの方が来てくださっていることに驚いています。訪問してくださった方に感謝します。
 ブログを書くようになったことで、自分の考えを多少なりともまとめることができ、とても良かったと思っています。

「継続は力なり」という言葉もあるように、2011年もしっかり勉強して、いろいろなことを考えて、このブログを書いていきたいと思います。

2010年12月30日木曜日

『FILM&IMAGE』 VOL.22

表紙は、丹地敏明氏撮影の、凍った滝の写真です。実に壮大なイメージの素晴らしい写真です。暖かい部屋で、のんびり、このような雄大な写真を見ることができるのはとても幸せな気分です。

丹地氏は74歳になられるそうですが、特集のタイトルは「楽に楽しく撮る」。巨匠だからこその発言なのでしょうが、インタビューのなかでも、「苦労しちゃダメ、楽しんで撮らなきゃ」とか、「作品集を作るのだって、難しく考えず、楽しくですよ」とかの発言がありますが、自分もそのくらいの年齢になったら、このような発言ができるような年のとり方をしたいです。

インタビューの二人目は、百々俊二氏です。百々(どど)なんて、とても珍しい苗字ですね。ビジュアルアーツ専門学校・大阪の校長である百々氏の、本書のテーマは「大阪」。
8×10でスナップするんだそうです。240ミリで絞りは夜はF22、絞り込んでF32、昼でもF64ということですから、歩行者は消えちゃいますね。事実、本書にも京橋の飲み屋街を、F45、10秒で撮ったというモノクロ写真が出ていますが、呼びこみの人以外は消えちゃっていて、モノクロで夜の繁華街という、とてもおもしろい写真になっています。ただ、とにかく、バイテンでスナップとは、驚きです(写真に詳しくない方にとって、バイテンで驚いているというのはよくわからないでしょうが、8×10、通称バイテンってのは、観光地などで記念撮影をするときに使う大きな脚付きのカメラと言えばわかるでしょうか)。

「モノクローム珠玉の名作選」は、ルネ・ブリです。ルネ・ブリの名前は知らなくても、キューバ革命の英雄、葉巻を加えた戦闘服姿のチェ・ゲバラの写真は、見たことがある方が多いでしょう。それを撮った写真家です。ただルネ・ブリよりは、やはりゲバラのかっこよさですね。「このページに載せる写真を選ぶうえで、いつも迷うのは、紹介する写真家の誰もが知る代表作にするか、それとも知名度では劣っていてもその人らしい一枚にするか、ということ。(中略)今回のルネ・ブリの場合は方向転換。もっとも有名な作品を選びました。なぜなら、彼の数多い秀作の中でも、印象深さとインパクトという点でこの一枚がダントツだからです。」という編集者の解説がありますが、ゲバラの写真で大正解ですね。ルネ・ブリの名前は、このゲバラの写真によって知られていると言っても過言ではないからです。正直言って、私もルネ・ブリはゲバラの写真を撮った写真家ということしか知りません。それにしても、ゲバラはかっこよすぎです。男の憧れですね。

憧れと言えば、今回の「フィルムカメラパラダイス」で取り上げられている、「ローライ35」は個人的にとっても憧れているカメラなんです。レンズはカールツァイスのテッサー40ミリF3.5、内蔵露出計はゴッセン、これが手のひらに収まるほどのコンパクトなボディーに収まっているんです。
本書で取り上げられているのは、「ローライ35S」。レンズはゾナーHFT40ミリF2.8の高級タイプですが、これも素晴らしいです。これで「スナップするのは快楽だ。」との赤城耕一氏のコメントがありますが、そうでしょう、そうでしょう、いいなぁ~。
子どものようにお年玉はないし、ボーナスの時には、女房にロールズの『正義論』を買うからと、なんとか3万円もらったわけですが、とても「ローライ35」には手は出ず、私にとって「ローライ35」は、当面憧れのカメラであり続けることになるでしょう。

なお、本書の購入はこちらでどうぞ。

2010年12月29日水曜日

『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説-アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』

AMNブッククラブ」のキャンペーンで頂いたものです。どうもありがとうございました。

イントロダクション─目的を探して

1 利益を求めて─ザッポスへたどり着くまで(ただ、利益を追い求める日々/うまくいくこともあれば、いかないことも ある /とにかくあれこれやってみる)

2 情熱をかけて─成長の設計図(自分の役割に集中する/成長へのプラットフォーム─ブランド、企業文化、パイプライン)

3 人生の目的 にたどり着く─幸せを届ける会社に(次のレベルへの進化/エンド・ゲーム)

エピローグ ムーブメントに参加しよう

「はじめに」の中に、「英文法的には最高の例とは言えないセンテンスにお気づきになることでしょう。第三者の手による文章であることが具体的に記された箇所以外、この本はゴーストラーターを使わずに私が自分で書きました。」 とありますが、日本語に翻訳された本書は、かなり読みやすい書籍になっていると思います。翻訳とは言え、元の文章がひどければ、このような本には仕上がらないですから、トニー・シェイはなかなか文才もあるように思います。

ザッポスに到るまでのストーリーもなかなかおもしろいです。子どものころの、バッチの事業を思いつついたりするように、小さなころから起業を考えているなど、普通ではないと思いますが、本書のよいところは、ザッポスの経営に参加してからも、ただのサクセスストーリーではないところです。

よくありがちな、アメリカンドリームを記しただけではなく、経営難に陥り、それをどう対処するか、苦しんだことも書かれています。それゆえ、「事実は小説より奇なり」を地で行く、スリリングな展開で、読者を飽きさせません。400ページ以上ありますが、途中いろんな関係者の文章が入っていたり、あっと言う間に読んでしまいました。

本書の最も素晴らしい点は、ザッポスの経営理念がはっきりと書かれている点でしょう。ザッポスの企業文化は、「ネット靴店」であるという枠にとどまらない、大変素晴らしいものです。このような企業ならば大成功するのは当たり前でしょう。それぞれの企業にも、それぞれの考えがあってそれはそれで良いのですが、ザッポスの理念を他の企業も取り入れて欲しいと思います。

むしろ、企業に限らず、政治や行政に関わる人達に学んで欲しいですね。最終的に「幸せになること」が目的なのは、社会全体が目指すべきものなのですから。

 手元に置いて、度々読み直したい一冊です。

なお、本書には専用のサイトも用意されていますので、興味のある方は、こちらへもどうぞ。

『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』 

ザッポス・ドットコムCEO トニー・シェイ (著)

本荘 修二 監訳/豊田 早苗 訳/本荘 修二 訳 (翻訳) 

ダイヤモンド社  2010年12月

 




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2010年12月28日火曜日

ロイター発「年末年始の体重増加、専門家が減量へのコツを伝授」を読んで

ロイターのHPの世界のこぼれ話にある記事です。

官公庁も今日までが通常営業で、民間企業もぼちぼち年末年始の休みに入りますよね。年末年始、日頃の疲れを取るんだァということで、ゴロゴロしている方が多くなることでしょうが、特に中年になって気になるのが体重増加ですね(私だけではないと思いますが・・・・・)。

米ニューヨーク市の臨床心理学者Belisa Vranich博士は、「決意が崩れるのは、非現実的なものだからだ」と指摘。うまくいかない場合への備えや変化を受け入れる気持ちが欠けていたり、運動を続けるためのサポートのないことが挫折の原因になる述べた。

ニューヨークでヨガやピラティスのインストラクターをするクリスティン・マッギー氏によると、
誰にでも合う運動方法というものはない。「自宅で運動するのが合っている人もいれば、ジムだと調子が良いという人もいる。グループレッスンを好む人とマンツーマンを好む人でも違う。自分が一番好きな方法を見つけるのに時間がかかっても、諦めないでほしい」。

エクササイズ本「Naked Fitness(原題)」の著者で米イリノイ州に住むアンドレア・メトカーフ氏は、生身の人間であれバーチャルなものであれ、サポートしてくれる存在を持つことが成功の秘訣だという。
メトカーフ氏は、すぐに成果が出ないとがっかりしてしまうのは「自分自身を信じていないからだ」との考えを示し、「鏡を見て、良い部分を探す必要がある」と述べた。

栄養士のジョイ・バウワー氏が推奨するのは、1日に30分歩くなど、達成しやすい小さな目標を掲げること。同氏は、「短期的な目標にすることを強く勧める。そうすれば、計画通りに進めやすく達成感が得られる」とし、非現実的な目標は落胆のもとだと話した。

この他にもいくつかの専門家のアドバイスが出ていますが、これを読んで思ったのは、これらのことはダイエットだけの話ではないなぁということです。
臨床心理学者Belisa Vranich博士が述べている内容を一部直して、「決意が崩れるのは、非現実的なものだからで、うまくいかない場合への備えや変化を受け入れる気持ちが欠けていたり、続けるためのサポートのないことが挫折の原因になる」というふうに読み変えれば、仕事や勉強でも同じことが言えると思います。

ニューヨークでヨガやピラティスのインストラクターをするクリスティン・マッギー氏やエクササイズ本「Naked Fitness(原題)」の著者で米イリノイ州に住むアンドレア・メトカーフ氏、栄養士のジョイ・バウワー氏のアドバイスも、それぞれの発言をごく一部変えれば、仕事や勉強に対する取り組みに関する注意にもなることに気づかれるのではないかと思います。

新年を迎えるにあたり、今年を反省し、来年への新たなる目標を決める方が多いと思いますが、せっかく目標を立てるならば、実りあるものにしたいものです。そのためには、例えばこのようなことを少し注意して計画するのも良いのではないかと思います(まぁ、私は素直にダイエットのアドバイスとしても受け止めないといけませんが(笑))。

2010年12月27日月曜日

『BRUTUS』700号

『ブルータス』最新号は「世の中」を考える本の特集です。今年もいろいろな本が話題になりましたが、そのような中で、この年末年始、時間があればぜひ読みたいものを175冊も取り上げています。

「世の中」を考える本
016 正義と個人 /いとうせいこう、萱野稔人
020 お金と幸福 /飯田泰之、坂口恭平
022 現代と仏教 /町田宗鳳、松本圭介
024 マネジメント /堀江貴文、宇野常寛
030 日本と英語 /鳥飼玖美子、齋藤 孝
032 今読む哲学 /斎藤 環、千葉雅也
034 つながり/藤井直敬、安田 雪
038 社会起業家 /井上英之、本村拓人
040 人口負荷 /藤村龍至、古市憲寿
042 生物多様性 /香坂 玲、石川直樹
046 笑いと教養 /ブルボン小林、笑い飯 哲夫
048 女子書店員がお薦めする、あなたに読んでほしい「世の中」を考える本。
076 2011年、「新しい言論」がここから始まる。/コンテクチュアズ
080 女子力をなめるなかれ。そして怖れるなかれ。/酒井順子
082 巷に溢れる恋愛本を通して、己の恋愛道について考える。/辛酸なめ子
084 自己啓発本、ポジティブ教はなぜ繁栄し増え続けるのか?/速水健朗
086 2011年、世の中で起きることを予習しよう。

059 特別付録 2011年のキーパーソン30人を知る本ガイド

regulars
007 Et tu, Brute?  「ジョン・リスゴー」ほか
093 Brutus Best Bets 新製品、ニューオープン情報
110 人間関係  419 写真/篠山紀信
『箱入り娘』チームキシン フロム AKB48
113 Begin Your Journey 052 プジョー RCZ
115 SUPREME BRUTUS
「ヴァンパイア・ウィークエンド」ほか
124 BRUT@STYLE 244 COPYBOY
128 グルマン温故知新 331 築地TAMATOMI/オステリア・ルスティカ・ドムス
130 みやげもん 105 まゆ玉/次号予告
103 BRUTUS BACK ISSUES/定期購読募集

いとうせいこう氏と萱野稔人氏がマイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』についての対談と、堀江貴文氏と宇野常寛氏が岩崎夏海の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』についての対談がおもしろいです。この二つの対談だけでも、本書を読む価値アリです。

まぁ、まっとうな読み方としては、本書を参考に、取り上げられている本を読んでみるということなんでしょうけど。

私の場合、このような書籍案内を参考に買うこともありますし、Amazonのレビューとかで評判を見てから買う本もあります。時には気になって何度も手に取るけど、買わないという本もあります。 ただ最終的には「勘」ですね。年間どれくらい本に費やすのか、計算したことないですけど(怖くて計算できないというのが本音ですが)、学生時代から相当の数を読んでいるのは間違いないので、なんとなくわかるんです(まぁ、自分にとってのおもしろいですけど)。

今回、本書でもすでに読んだものも結構ありますが、まだこれから読みたいものもあります。

ただ本書を読んで、『思想地図B(ベーター)』が「友の会」を募集していたことを初めて知りました。どうもTwitterで呼びかけをしていたらしいのですが。Twitter、やってないから知りませんでした。
第1期『思想地図』は全て読みましたが、『思想地図B(ベーター)』、もう出ているようですので、確認しないと。ただ、初回印刷分はもう品切れで、重版になっているようです。詳しい情報は、合同会社コンテクチュアズ」のHPに出ています。



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2010年12月26日日曜日

『atプラス』06号

第1特集 『世界史の構造』を読む
柄谷行人+大澤真幸+苅部直+島田裕巳+高澤秀次 座談会「可能なる世界同時革命」/いとうせいこう 書評「切り場」/斎藤環 書評「狂気としての贈与、あるいは平和への欲望」/磯崎新 書評「柄谷行人の『アーキテクチュア原論』」/佐藤優 書評「『世界史の構造』における普遍宗教」


第2特集 ソーシャルデザインの試行
山本理顕 「建築空間の施設化」/染谷昌義 「経験の必要性」
atプラス編集部 高瀬幸途 活動レポート「『葬送を考える市民の会』の多彩な活動」/山田慎也 寄稿「葬儀の行方」
 

連載
岡﨑乾二郎 「活動へのアート」第5回/鎌仲ひとみ 「我は如何にして活動家となりし乎」第4回/堀内進之介 「Review of the previous issue」/山折哲雄 「現在の往生試論」その5/山下範久 「ポスト・リオリエント」第9回/岩根邦雄 「生活クラブと私の魂胆」その6/鈴木一誌「デザイン覚書21」


第1特集が柄谷行人氏の『世界史の構造』についてなのですが、『世界史の構造』をまだ買ってもいません。しかし、たぶん近日中に、Amzonか楽天ブックスでポチっちゃうと思います。アントニオ・ネグリ、マイケル・ハートの『帝国』よりもさらに壮大な内容だということですから、『帝国』を興奮しながら読んだ私としては買わずにいれません。
本書で何人かの方が『世界史の構造』の書評を書かれていますが、いとうせいこう氏の書評、おもしろいですよ。切り口が独特ですね。

第2特集は、最初はそれほど気にしていなかったのですが、読んでみるとかなりおもしろかったです。特に、染谷昌義氏の論考は、かなり勉強になりました。教員ですから、デューイくらい知っていましたが、まだまだデューイから学ぶことが多いということを再認識しました。デューイの『経験と教育』は読み直さないといけないと思いました。
それから、「葬儀」の問題の部分と山折哲雄 「現在の往生試論」その5ですが、昨年、父の葬儀を出したばかりの私としては、そのときは勢いというか、とにかく父を盛大に送ろうと思っていただけだったのですが、本書を読んで改めて考えると、他にもいろいろなやり方があったんだなあと考えさせられました。まぁ、我が家の場合は、母が満足してくれたのでそれで全てOKですが。

堀内進之介 「Review of the previous issue」も良かったです。ちょうど平凡社新書でも『市民社会とは何か』がでたばかりですし、マイケル・サンデルの政治哲学でも、「コミュニティ」とか「共同体」が「正義」の問題と深く関わっていることが指摘される中なので、前号『atプラス』05号と合わせて、読みなおしてみると良いかも知れません。













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2010年12月25日土曜日

東京都って・・・・・。

12月24日づけ『産経新聞』に、東京都が朝鮮学校への補助金支出を中止へ 全国初」の記事が出ています。

先日の「青少年育成条例改正」といい、今回のこれといい、東京都って一体何を考えているんでしょうか?まぁ、「東京都が」というよりは、「都知事さんが」ってことなんでしょうけど。

そりゃ確かに「反日教育」的なことをしているかも知れませんが、そういうことを言えば、別に朝鮮学校だけではないと思うのですが。

しかし、これが先進国日本の首都である自治体がやることでしょうか?政府もダメなら、首都もダメ、じゃ地方がなんとか・・・・・。

BLOGOSでも、秋原葉月氏がこの問題を取り上げていました。私が思っていることと、かなり同じような内容ですので、私の主張の詳細はこちらに 譲りますので、ぜひお読みください。

(今日はいちおうクリスマスってことで、家族でパーティーなので、手抜きをさせてもらいます(笑))

2010年12月24日金曜日

「脱・ゆとり教育」路線は進むか?

DAIMOND onlineに、もはや日本は子どもの学力でも中国にかなわない?歩みがのろい「脱・ゆとり教育」に募る親たちの不満」と題した、友清 哲氏の記事が出ています。

先ほど発表されたPISAの結果が大変注目されている中で、「脱・ゆとり教育」路線が進んだ結果か?といった見方もされていますが、実際はまだ「ゆとり教育」から脱しきれていない教育現場の現状が問題視されています。
いちおう来年度からの新しい学習指導要領により、小学校では教科書が3割増となるので、多少「ゆとり教育」からは変化があるはずですが、「ゆとり教育」は学習内容や量を少なくしたということだけではなく、「非競争化」や、ドリルなどの繰り返し学習を行わなくなったり、単純に学習量を減らす以外の部分にまで及んでおり、むしろその部分が問題になっているわけです。従って、学習内容が増加することで、すぐに「脱・ゆとり教育」とはならないし、文科省自体もこれで「脱・ゆとり教育」路線を進めるということは言っていませんから、それほど急激に変化するとは思えないわけです。

しかし不思議なのは、「ゆとり教育」が何故「非競争化」に向かったのでしょうか?ドリルなどの繰り返し学習をやらなくなったのは、何故なのでしょうか?学習内容の減少が、どうしてそのようなカタチで実行されて行ったのか、そのあたりをしっかり考察しなおさないと、今の大きな流れは変えられないでしょう。

ただ、実際に子を持つ親の立場からすれば、とにかくどうにかして欲しいわけで、それが私立校や塾に流れたというワケですが、リーマン・ショック以降はその傾向のやや減少し、公立校に戻ってきているらしいです。

しかし、私立校や塾に行かせたことがプラスに働いている子どもがどれほどいるかは疑問ですね。親はそういうところに行かせれば大丈夫だと思って行かせるわけですが、ただ行かせているということで安心してしまっているってことはないでしょうか? 私立校や塾に通わせるために、母親がパートに出るというパターンは多いのではないかと思います。しかし、それによって、子どもはただ行っているだけで、実際にそれがどれほど身になっているかを親は確認していないのではないでしょうか?子ども自身も、塾などに行っていることで安心してしまっていて、実際に塾ではただ座っているだけ、なんてことはよくありがちです。あるいは、塾に行くために時間が取られてしまって、学校の宿題をやる暇がないなんて、本末転倒な話も耳にします。

確かに不安です。だから、塾に行かせるのもありです。しかし、子どもは例え高校生になっても、親に見ていて欲しいんです。確かに小学校一年生くらいの勉強なら見れるでしょうけど、中学校くらいになったらとても無理って思いますよね。確かにそのとおりです。別に勉強を見てあげなさいと言っているわけではないんです。母親が家に居て、子どもが勉強しているのを見守っていてあげたらどうですかと言っているんです。子どもは親が期待していることは分かっています。ですから、塾に行けと言われれば、本人も不安ですし、親の期待も分かっているので、塾に行くわけです。行くことで親の期待に答えるわけです。しかし、それで終わりと言うのがほとんどなんです。だったら、無駄にお金と時間を使わないで、ドリルなどを買ってきて家で繰り返しやらせてみたらどうでしょう。人間の記憶は繰り返すことによって定着しますから、その方がよほど効果がある場合があります。

学校に期待できない分を、塾に頼るのは間違いとは言わないですが、一度よく考えた方が良いと思います。
また、来年度から自分の子どもが通っている学校がどのように変わるのか、よく見てみると良いと思います。親が学校に関心を持つことは、意外と子どもにとっては良い刺激となります。そうすることで、問題点が見えてくると思いますから、その上で改めて塾などを検討しても遅くはないと思いますし、親が自分の勉強に関心を持っていることを子どもが感じれば、自分から改善点を実行し始めることもあるかも知れません。
何でも丸投げでは決して良い結果をうみません。「脱・ゆとり教育」にしたって、学校に丸投げでは、何も変わらないでしょう。学校に文句を言えというわけではなく、どのような教育が進んでいくのかに関心を持って欲しいということです。そうすることで、何かみえてくるものが必ずあるはずです。

2010年12月23日木曜日

やはり今後はアジアが成長!では、日本は?

今年も残りわずかとなり、経済系の各雑誌(『週刊東洋経済』や『週刊ダイヤモンド』、『週刊エコノミスト』など)は、2011年の予測が特集となっていますが、もう少し先までの、大方の予測としては、中国やインドを始めとした、アジアの成長が見込まれています。

「BLOGOS finance」にあつまろ氏の「2019年中国は経済世界第1位」という記事が出ていました。この中では、タイトル通り、中国の成長について述べているのと、それでもまだアメリカも捨てたものではないという意見を述べた上で、日本は、

お隣り中国は大市場。さらに東南アジアも成長著しい。
 世界でもっとも有望な地域にある日本の立地は他先進国と比較しても有利です。漢字文化圏、箸
文化圏、黄色人種と欧米先進国にない文化を共有することによる有利な点が多く存在するはずです。
やり方次第でまだまだ成長の余地があることは、アメリカを見てもわかっており、お手本となるべき存在がいます。
日本は国家財政などの問題を抱えていますが、どこの国だってその国ならではの問題は抱えています。
やり方次第で、いくらでも成長の余地があります。


と述べられています。

しかし、問題なのは、「やり方次第で、いくらでも成長の余地があります。」という、この部分です。主張内容が問題というのではなく、その「やり方」を、今後の日本がうまく見つけて行けるのか難しいという意味で、です。

GDPで経済成長を測っても、実際にはあまり意味を持たないと言われますが、素人にとっては、やはりGDP比較の方がわかりやすいですので、どうしてもこれで比較してしまいますし、GDPの伸びで一喜一憂するのは仕方がないことですね。
しかし、中国の人口は日本の10倍ですから、その国が今まで以上に稼げば、GDPの伸びはあっと言う間に日本を追い抜くのはあたりまえなのです。ですから、中国が日本を追い抜き、アメリカに追いつき、追い越すのもありなわけです。
従って、あつまろ氏がおっしゃるように、それをうまく利用すれば、中国に追い抜かれようと、それほど心配する必要はないのではないかと思います。ただ、先程も書いたように問題なのは、その「やり方」なのです。

これからの日本はGDPによる成長競争は気にしないで、どうやってうまく時代の潮流に乗っていくか、国際社会の動向を注意深く観察し、その時々に必要なことを的確に見抜く力を養っていくことが一番大切なことだと思います。

実際、中国の後ろからヒタヒタととインド(リンク先は、「BLOGOS finance」の広瀬隆雄氏による「インドのマイカー・ブームは原油高要因」というタイトルの記事です。インドはマイカーブームが起こり、それが原油高騰につながるほどの消費量であるという、インドの成長を実感させる内容です。)のが近づいてくるのですから、中国やインドに負けないのではなく、 利用できるところを利用して、健全な国家、健全な経済状態であろうとする努力が必要なのだと思います。

2010年12月22日水曜日

BLOGOSにファイナンス版が誕生!!

「経済・金融分野に特化した」という「BLOGOS finance」ということで、これからは両方をチェックすることが必要になるわけです。おかげで、かなりいい頭脳のトレーニングができそうです。

で、早速「BLOGOS finance」から、「高卒=大卒<専卒の時代」と題した、自由人氏の「生きた経済ブログ」からの同名タイトル記事です。

「「内定をもらえなかった大学生が大学卒業後に専門学校に行くケースが増えているとの報道があった。」ということから、タイトルのようなものをお考えになったということです。

確かに、大学に進学する生徒の数が50パーセントを超え、大卒での就職率が60パーセントに届かないという状況を見ると、専門学校で資格をとったほうが有利だと発想するのも、やむを得ないですね。ただ、大卒の就職が厳しいのと同様かそれよりもひどいのが高卒での就職ですし、高卒が当たり前の世の中であって、大卒でないとらないという会社も多いです。
また、専門学校卒業もかなり就職は厳しいようで(以前のエントリーで書きましたが)、専門学校程度のレベルでは、大卒よりも有利というのは、あまりありえないと思います。

しかし、大卒者が専門学校に入学しなおすというのは、報道のとおりですし、実際私の卒業生にも居ます。その生徒は芸術系の大学に進学したのですが、就職がないということで、医療系の専門学校に入るんだそうです。
芸術系ですと、確かにそれを活かした仕事って厳しいでしょうから、医療系の専門学校という選択は良いのではないかと思います。ある意味、やっと社会の現実を認識したうえでの、堅実な判断ができるようになったといったところでしょうか。

おそらく、報道にあった学生の中には、結構こういうタイプが多いのではないでしょうか。つまり、高校段階では、現実の厳しさがわかっておらず、ただ漠然と大学に進学したはいいが、社会の風にあたって目覚め、やっと現実的な判断ができるようになったということです。ただ、そのような学生なので、その判断は甘いと言わざるを得ませんが。

「専門学校に行って資格をとれば就職がある」と思っているのでしょうが、前述したように、始めから専門学校に行った学生も苦戦しているのです。そこに大卒の再チャレンジ組が加われば、競争はより激しさを増すばかりですし、大卒で就職できない者が専門学校卒で就職できるのか、はなはだ疑問です。まぁ、大卒ですと、大卒レベルの就職先を選ぶでしょうが、専門学校卒ならば、大卒よりはランクを下げたところを就職先に選ぶでしょうから、入れるかも知れませんが。おまけに、専門学校ですと、学校側が就職実績を上げるために、やっきになってどこかに押しこんでくれるでしょうから、結果的には就職できて、「やっぱり専門学校に行って資格とったから」という間違った認識が、後輩たちに伝わるんでしょうね。

やっぱり、いつもの私の意見ですけど、しっかり目標を持って大学に進学した者は、就職もうまくいくんです。専門学校でも同じです。逆に、なんとなく大学、なんとなく専門学校って生徒は、就職に苦労するんです。大学の勉強が役に立たないのではなく、なんとなく入った者はきちんと勉強しませんから、大学での学びが身についていないのでそれを活かせないわけです。そもそも大学では学問の基礎を学ぶわけですから、それが社会に出て、直接役に立つと思っている方が間違いなのです。大学での学びをよく理解していない者が、おそらくそのように思っているんだと思います。

ただ、誤解のないようにしていただきたいのは、大学が優れていると言っているわけではありません。専門学校での学びが十分役に立つ仕事もあるわけですし、きちんとした学びができていれば、高校での勉強でも十分役に立つ仕事もあります。
大切なのは、自分がどんな仕事につきたいのか、その仕事につくためにはどのレベルでの学びを習得しておけば良いのかということを、高校時代にしっかりと理解しておくことです。みんながみんな高校に行くとは言え、ただ漠然と過ごすのではなく、実はとても重要な時期なんだということを、理解して欲しいですね。

2010年12月21日火曜日

日本の指導者は、「沖縄問題」について、ちゃんと考えているのでしょうか?

先日、菅首相が沖縄に行って、仲井真知事と会談を行ったことは、各メデイアで報道されていますが、ほんの僅かな時間でしたし、意見も全くすれ違い、また上空からの基地を視察したのみのようですが、新聞には「大きな一歩」という文字が出ていました。何が?どこか??というのは多くの方が感じたことだと思います。正直言って、菅首相は沖縄に何をしにいったのでしょうか?

ところが、今日はさらに前原外相が沖縄に行き、仲井真知事と会談したというのが、各ニュースサイトに出ています。
前原外相の訪沖は、おそらく菅首相が行ったときに、予告されていたのしょうが、こんなにも続けて行っているのは何故なんでしょう?前原外相は一体に何をしにいったんでしょうか?

仙谷官房長官の「甘受」発言もそうですけど、日本の指導者は(う~ん、これらの方々を、あまり指導者って表現したくないなぁ。 )何を考えているのでしょう(あぁ、考えていることは、沖縄県内に移設するってことだけですね)。

仲井真知事は、「沖縄以外で探していただいた方が早いのではないか」と発言したようですが、もっとガツンと言えないのでしょうかねぇ。まぁ、政治的な駆け引きってのがあるんでしょうけど、金でごまかされないように、祈るしかないですね。

コザ騒動40年の昨日12月20日を挟んでのこれらの動きに、なんだかやるせない思いでいっぱいです。 「第2のコザ騒動」が起きてもおかしくはないという発言もあるようです。ちょうど40年前なので、その時のことは知りませんが、きっとコザ騒動の時と同じだと思われる「理不尽さ」というものを感じざるを得ません。
沖縄タイムス』12月20日の社説と、『琉球新報』12月21日の社説へのリンクを張っておきます。ぜひ、読んでみてください。

2010年12月20日月曜日

大澤真幸THINKING「O」8号

社会学者大澤真幸氏主催の雑誌です。毎号かなりの大物ゲストが登場し大澤真幸氏と対談する、大変読み応えのある雑誌です。

今号は、大学の同窓生でもある社会学者の宮台真司氏との対談が特集になっています。タイトルは、「「正義」について論じます」。
マイケル・サンデルブームにより政治哲学が流行っている中で、大物社会学者の二人が「正義は可能か?」をテーマに語っていて、とてもおもしろい対談になっています。

対談:正義は可能か?
・善と正義の違い
・「市場か再配分か」は遅れた議論
・「みんな」は本当は「みんな」ではない
・沖縄の自己決定的な自立
・資本主義は持続出来るか
・何がミメーシスを引き起こすのか
・なぜ性愛について書くのか
・不可能性への志向


目次を見るとわかるかも知れませんが、二人の対談は「正義」にとどまらず、かなり先にまで進んだ議論になっています。特に宮台氏は感染、感染的模倣を意味する「ミメーシス」を中心に語っていてます。
この「ミメーシス」、ネット社会の現代においては、重要な概念だと思います。TwitterやFacebookの影響力は、まさに「ミメーシス」であり、それは様々なところで大きな影響力を持っています。

またもう一つ、大澤氏も宮台氏もそれぞれ、「沖縄問題」について触れています。大澤氏は朝日新聞社のWEBで電子書籍の形式で発表した、基地移転を「県外」ではなく、「圏外」とする『緊急発言 普天間基地圏外移設案』で述べた内容の話をされています。
宮台氏も「マル激トーク・オン・ディマンド」ブログなどでも「沖縄問題」について発言されていて、今号では、『日本の難点』で述べた内容をもとに発言されています。ともに具体的な指摘であり、沖縄県知事選挙が終了し、本格的に「普天間基地問題」に取り組まなければならない今こそ、より重要になっていると思います(なお、「マル激トーク・オン・ディマンド」で扱った「沖縄問題」に関しては、11月に『沖縄の真実、ヤマトの欺瞞 米軍基地と日本外交の軛』と題して書籍になっています)。
また、『THINKING O』での対談で述べた内容と同じような内容の発言が、宮台氏のブログでもまとめられていますので、こちらも合わせて読むと良いでしょう。

そしてこの対談を受けて大澤真幸氏が書かれた、「二つのミメーシス 宮台真司の論を手がかりにして」と題した論文も掲載されています。

論文:「二つのミメーシス 宮台真司の論を手がかりにして」
1 感染的模倣
2 「理想自我」と「自我理想」
3 利他的行為の倒錯
4 もうひとつのミメーシス


この論文の中で、大澤氏は「ミメーシス」はマックス・ウェーバーの「カリスマ」概念に近いものであると指摘しています。
また「理想自我」と「自我理想」の概念も、重要な指摘です。


ロールズ『正義論』の新訳本も刊行されたことですし、まだしばらくは政治哲学がおもしろそうですね(新訳『正義論』、欲しいですが、何であんなに高いんですかねぇ。今、これだけ話題になっているのですから、もう少し安ければかなり売れると思うのですけど。年末年始の何かと入用なこの時期に、税込7875円は厳しいですね。でも、楽天ブックスを見たら、このエントリーを書いている現在、「品切れ」になっていますので、この値段でも売れているんですね。Amazonはまだあるようですが、早く買った方がいいかなぁ)。









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2010年12月19日日曜日

ドイツ西部で「宿題のない学校」誕生か?

12月17日づけのロイターニュースによると、ドイツ西部のノルトライン・ウェストファーレン州で、州議会で教育改革法案が成立した場合、学校での宿題がなくなる可能性があるとのことです。
この話題を日本の中高生が聞けば、うらやましがるでしょう。しかし、実際はそう簡単な話ではありません。

ドイツのいくつかの州で現在、1日の授業時間を増やすことにより高等学校での在籍年数を1年減らす教育改革を目指しているそうで、ノルトライン・ウェストファーレン州での教育改革法案もその一環であるとのことです。

ドイツの教育制度は日本とかなり違います。日本はアメリカと同じ単線型、ドイツなどのヨーロッパは複線型と呼ばれる複雑な教育制度です。
ウィキペディアを参考にドイツの教育制度を見ると、小学校が4年制で、その後大学へ行くためには、9年制のギムナジウムへ行くことになります。大学へ行く必要を感じなければ、5年制の中学へ行って義務教育を受けます。もっと勉強したいけど、大学へ行くほどではない場合は、専門技術も学ぶ6年制の中等実科・商科学校へ行くことになります。
大学へ行くためには、4年プラス9年で、13年教育を受けることになり、日本より1年長いので、おらそくこの1年を短縮するのが、現在進んでいる教育改革だと思われます。 

ただし、大学に進学するためには、アビトゥーアを受けなければなりません。このアビトゥーアは、ギムナジウムを終了した後に受ける国家試験で、大学に行くことができる資格です(ドイツ以外の中欧圏では大学入学資格という傾向が強く、高校卒業資格とは別ですが、ドイツでは中等教育修了資格、日本の高校卒業資格に当たります)。資格なので、一度合格さえすれば、一生使える資格です。しかし、2度までしか受験できません。つまり、2回落ちると、大学へ進学できなくなるわけです。

また、ギムナジウムでは毎年5%から10%(40人のクラスだったら、2人から4人)の落第者が出ます。だから、ストレートに進級して9年でギムナジウムを卒業できる人というのは、極端に言えば半分くらいしかいないというのが実情です。ただ、ドイツでは落第はそれほど恥ずかしいことではなくらしく、むしろアビトゥーアのことを考えれば、ギムナジウムの間にしっかり学力をつけておかないと困るわけです。

こんな教育事情ですから、宿題が無くなったとしても、生徒が勉強しないということはないでしょうね。むしろ、宿題がなくなる分、家庭学習をしっかりやらないとギムナジウムも落第してしまうし、アビトゥーアも受からないということになってしまいますので、このほうが学生はより勉強するでしょうね。

教育システムが日本と違うとは言え、日本の学生は、一部を除いてあまり勉強しないのが現状ですから、先日発表された PISAの結果が多少良くなったと言って喜んでいる文科省さん、同じ教育改革をするのならば、学習指導要領にもっと学生が自主的に勉強するようになる改革を盛り込むべきだと思います。おそらく、そのためには、大学入学制度を改める必要があるでしょう。

昔の日本の大学は「入りにくく、出やすい」でしたが、今は「入りやすく、出やすい」ですから、やはりきちんと学力をつけたものが進学する大学にしていく必要があるのだと思います。
ただこういう言い方をすると、日本では「格差」だとの批判が起こるでしょうから、ドイツの中等教育機関のように、大学を何種類かに分けて、基礎学問を学ぶ大学、実学を学ぶ大学など、学力レベルに応じた分け方ではなく、教育内容による分類で、センター試験での合格ラインを設置し、何点以上なら、小論文や面接などの2次試験を受けることができるという形式にしたら、どうでしょう。
そうすれば、学生は勉強しなければなりませんから、日本の学校でも宿題を出さずとも学生が勉強してくれるのでは、という淡い期待を持ちます(笑)

2010年12月18日土曜日

高校生の就職内定率について

BLOGOS12月16日に、シロクマ氏の高校生の就職内定率について耳にすること」という記事が出ていました(元ネタは「 シロクマの屑籠(汎適所属)」の同名第タイトルの記事です)。

この記事の中にも書いてありましたが、日本高等学校教職員組合によれば、2010年10月の時点での就職内定率は61.5%(男子66.9%、女子52.8%)と言うことで(データの出所はこちら)、2009年度に比べて、1.9ポイント上昇(男子は1.2ポイント、女子は2.3ポイント上昇)したとはいえ、2008年度に比べると、13.1ポイントの下落ということです。
シロクマ氏が耳にする限り、高校によって内定率にばらつきが大きいが、これは何故なのかと述べていらっしゃいますが、「実業系か否かや、いわゆる高校偏差値とも関連するのかもしれない。 」というシロクマ氏の考えは、正解に近いと思います。

私の勤務校は普通科の高校なのですが、いわゆる職業高校の方が求人も多く、当然内定率も高いのは事実です。普通科の高校では、偏差値の高い高校は就職する生徒はほとんどいませんが、低くなると就職を希望する生徒が増えてきます。
ただ、高校周辺の企業の認識として、普通科の高校は大学、短大、専門学校などに進学するものだと思われている方々が多いようです。
就職という点で、高校の名前が売れていないために、求人はあまり多くないですし、企業訪問をすると、「就職希望がいるんですね?」と言われる始末です。
それに比べれば、職業高校は一般的に高校を卒業すれば就職をするのが普通ですし、過去の実績もあるので、企業側も求人を出すわけです。 ただ、最近は職業高校でも進学する生徒が多くなっています。

そのような状態でも、昨年は職業高校でもかなり苦戦したようですし、私の勤務校などは、なかなか決まらない生徒が複数いたので、大変苦労しました。今年は、まだ近隣校の話は耳にしていませんが、勤務校では就職希望者の60パーセントほどしか現時点では決まっておらず(数字的には、日本高等学校教職員組合の発表した内定率の数字に近いですが)、まだ内定していない生徒が行けそうな企業を探すのが大変困難な状況になっています(それでも、昨年の実績から、今年は就職が厳しいのは十分予想できましたので、生徒には「就職をしたいなら、進学する生徒よりもしっかり勉強しないとだめだぞ。」と脅したため(笑)、当初希望していた生徒が進学に変えたというのが多かったです。まぁ、進学したからといって、その先で就職に苦労する可能性が、まだ高いですが)。

大学生に比べて、高校生の就職の厳しさは、あまり多く報道されていませんが、 大学生の就職が厳しいんですから、高校生だって同じようなものです。 あるいはむしろ大学生よりも厳しいかもしれません。高卒でもだめで、大卒でもだめだとすると、一体どうすれば良いのか、高校教員にとって、悩みどころです。

2010年12月17日金曜日

山内康一氏の「公募面接の注意事項」を読んで

「みんなの党」所属の衆議院議員山内康一氏のブログ、「蟷螂(とうろう)の斧」の同名タイトル記事です。BLOGOSで発見しました。

参院選、衆院選、地方選などの候補者との面接の中で、山内氏が気づかれた点について述べられていますが、議員候補者に限らず、就活中の大学生や、大学の受験生にも広く言えることなのではないかと思いましたので、紹介します。

 「例えば、会社訪問をする前に、その会社を調べない学生なんて、今どきいないと思います(バブル期はいたでしょうが)。

と山内氏は述べていますが、就活中の大学生や大学の受験生などの中で、とにかく受かればどこでもいいという人は、案外自分が受けるところについて、きちんと調べていない人がいますよね。まあ、だから特に就活では落ちるのですが(大学の方は、とにかく入れたいので、そういう生徒でも受かっちゃいます。だから、就活の時にも甘い考えで受ける者がいるんでしょうね。全てではありませんが)。

最後に、注意点をまとめてくださっているので、ここに転載します。

1)党の方針や選挙公約(アジェンダ)を読んでくる。
2)議員として実現したい政策テーマをいくつか用意しておく。
⇒そもそも実現したい政策テーマのない人は、議員を目指す資格がありません

3)抽象論ではなく、具体論を語る。
⇒具体論を語るには、具体的なデータや事例を知っておく必要があり、
そのためには政策の勉強が必要です。仮免でなく、即戦力を求めます。

4)「熱い思い」はあたり前。ガッツや精神論ではなく、行動と具体論で勝負。
5)議員になることが目的で、議員になって何を実現したいかがわからない、
という人はそもそも応募していただかなくて結構です。


就活中の大学生ならば、「党」の部分を受ける「企業」に読み替えて、大学受験生ならば「大学」に読み替えてもらえば良いと思います。
具体的には、1)の「党の方針や選挙公約(アジェンダ)」を企業や大学の目指す方向、大学ならば教育方針やアドミッションポリシーに読み替えます。
2)「政策テーマ」を「入社できたら(あるいは入学できたら)やりたいこと」とかに読み替えたらどうでしょう。
3)、4)はそのままで良いと思います。
5)は「議員」を「社員」や「学生」に読み変えれば、意味が通るでしょう。

このように、山内氏の指摘はいろいろなカタチで活かせると思います。

たた、この記事で気になったのは、議員候補者って面接して決めるの?ってことです。確かに自民党や民主党の公募で、当選して議員になった事例がありましたが、あれは一時的なイベント的なものなんだと思っていましたが、「みんなの党」では公募しているんですね。自民や民主や他の党でも、公募しているんでしょうかねぇ?
議員かぁ、おもしろいかもしれないなぁ。「教育の再生」をテーマにする人が多いようですから、現役の強みでその辺なら語れるし。私も、山内氏の注意事項を守って、面接してもらおうかなぁ(笑)

2010年12月16日木曜日

アメリカTIME誌のPerson of the Year 2010

アメリカTIME誌恒例の「今年の人」ですが、2010年はFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏が選ばれました。

日本でも、ここ数ヵ月の間に急激に拡大しているFacebook ですし、メディアでの登場も多く、来年には映画も公開されるとなれば、納得の選考ですね。リンドバーグに次ぐ、2番目の若さだそうです。
ただ、ロイターによると、「ウィキリークス」の創設者で、英警察当局に性犯罪容疑で逮捕されたジュリアン・アサンジ容疑者が読者投票では一位になったとか。さすがに表紙には出来ないですよね。

で、そのマーク・ザッカーバーグ氏のFacebookですが、これだけ話題になっていますが、私としては、未だにどう使ったらいいのかよくわかりません。
Amazonをみたら、何冊かのFacebook本が出ていますが、「フェイスブック facebook 完全活用術 世界中で5億人が利用するSNS」と「Facebookをビジネスに使う本」が、まだでたばかりで、Amazonでのレビューの評価も良いようですので、このへんを買って、ちょっと勉強しようと思います。フェイスブック facebook 完全活用術 世界中で5億人が利用するSNS」の方は基本書として、Facebookをビジネスに使う本」はFacebookの可能性を考えるために読むつもりです。



2010年12月15日水曜日

東京都青少年健全育成条例の改正案可決

「過激な性行為を描いた漫画やアニメの販売を規制する東京都青少年健全育成条例の改正案を採決する都議会本会議が15日午後、開かれた。民主、自民、公明の賛成多数で可決され、条例は成立した。」というニュースが、様々なニュースサイトで流れています。

確かに、子どもに見せたくないものはありますし、最近はその手のものが氾濫していると言われますので、多少規制する必要はあるのかもしませんが、ただ様々に報道されている内容から判断すると、今回の東京都の条例は、そこまでやるか?という感じがします。正直、ちょっと呆れます。

実際にどのようなものが規制されることになるのかわかりませんが、この手のものはイタチごっこになりがちですので、しばらくは静かでも、そのうちいろいろなカタチで出てくることになるでしょう。
しかし、対象となるものを選ぶのが大変でしょうね。おそらく、見せしめ的に規制する可能性があるでしょうが、全面的にはとうてい無理でしょう。

しかし、都議会の最大会派の民主が言っている、「子を持つ親ら「声無き多数派」」って一体誰のことなんでしょう?「声無き」って、実際誰も言っていないから、「声無き」なのでは・・・?
正直言って、このようなことに力を注ぐ余裕があるのなら、もっと他にやることがあるだろうにと思います。まさか、他県でもこれに同調するような、間抜けなところがでないでしょうねぇ。

2010年12月14日火曜日

『THE 21』2011-01 No.314

あまり買うことはないのですが、「商品に歴史あり」という、いろいろな商品の歴史をマンガで書かれたところがおもしろくて、時折立ち読みしますが、今回は総力特集が「5分でわかる「経済入門」だったので、購入しました(ちなみに、今号の「商品に歴史あり」は、「鈴廣のかまぼこ」です。今までここで紹介された商品については、PHP研究所から『マンガで読む「ロングセラー商品」誕生物語』として出版されています)。

第1部は、『今までで一番やさしい経済の教科書』などの著作を持つ木暮太一氏の監修のため、木暮氏の著作を再編集したような形式になっていますが、「GDP」、「人口」、「雇用」、「貿易」、「財政」、「為替」、「金融」についてまとめられています。主張自体は少し?な部分もありますが、用語の解説や現状分析に関してはかなり分かりやすくなっていて、5分は大げさですが、読んでいけば、現代の経済を取り巻く問題について、ひと通り理解することができるでしょう。図表も多く、かなり読みやすいです。

第2部は、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』の著者である小宮一慶氏の監修による、「プロが実践している日経新聞の「読み方・使い方」です。小宮氏の他に、渋井真帆氏、板橋悟氏、東谷暁氏らの「読み方・使い方」のアドバイスが出ています。
ビジネスマンと言えば、日経新聞というイメージが強いので、やはり日経新聞を読んだほうが良いのかと思うビジネスマンが多いのかも知れませんが、日経新聞だからといって、他の新聞と読み方に特別な差があると思うのが、そもそもの間違いだと思います。新聞一部にどれだけの情報が詰まっているか、何万字あるか。何かで読んだ記憶がありますが、具体的な数字は忘れましたが、軽く新書一冊分(だったような?)はあるのですがら、それを毎日スミからスミまで読むのは無理です。
普通の新聞同様に、一面をじっくり見て、あとは見出しだけを見て、気になる記事だけ読む、あるいはスクラップするで十分だと思います。実際、この第2部でも、それに近い読み方が提案されていましたので、私の考えかたはまんざらでもないようです。

特集は「いまだから読みたい「デール・カーネギー」」です。「デール・カーネギー」と言えば、『人を動かす』や『道は開ける』で有名です。私の本棚にも、この二冊と『カーネギー名言集』がセットになっている文庫本が、すぐ取れる場所にあります。結構何度も読み返しています。人間関係が難しくなっている現代社会ですから、確かに「いまだから読みたい」ですね。











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2010年12月13日月曜日

『通貨で読み解く世界経済 ドル、ユーロ、人民元、そして円』

円高も多少落ち着いてきた感じになってきましたね。しかし、この先どうなるか、まだまだ余談は許しません。
そんな中で、タイトルの書籍の紹介です。

まえがき
第1章 世界金融危機とマクロ経済政策
 Ⅰ― 金融危機とドル
 Ⅱ― 短期の政策対応とドル
第2章 基軸通貨ドルの将来
 Ⅰ― 基軸通貨の地位確立と国際金融システム
 Ⅱ― 金融規制改革と基軸通貨の条件
第3章 ユーロの課題と展望
 Ⅰ― ユーロ圏は最適通貨圏か
 Ⅱ― ユーロの可能性
第4章 東アジアの台頭と人民元
 Ⅰ― 東アジア経済の発展と危機
 Ⅱ― 東アジアの通貨金融協力
 Ⅲ― 中国の改革開放政策
 Ⅳ― 中国の為替政策と人民元の国際化
第5章 円高と日本経済
 Ⅰ― 円の国際化の挫折
 Ⅱ― デフレ脱却と為替介入、円キャリートレード
第6章 国際金融システム改革
 Ⅰ― 国際通貨制度の問題点と改革案
 Ⅱ― 日本の課題
おわりに
世界金融危機年表
主要参考文献

Amazonのレビューでも、なかなか良く評価されていますが、私も、これはオススメです。
戦後の金融史がしっかり学べますし、大雑把に世界経済を学ぶためにはちょうど良い本だと思います。タイトルの通り、「通貨」で世界経済を論じているわけですが、通常の経済学の本とは違う感じで大変読みやすいです。
経済を学ぶ大学生の入門レベルと言う感じでしょうか(ただ最近の大学生にとっては難しすぎるかな。でも経済を勉強しようという学生は、これくらいは読めないと困ると思いますが)。
まずは本書を読んでから、もう少し難しいもの、本書の参考文献にある書籍を読むと、今日の世界経済がよくわかり、少し語れるように(笑)なると思います。

小林正宏・中林伸一著『 通貨で読み解く世界経済 ドル、ユーロ、人民元、そして円』 中公新書2064 2010年7月発行


ちょうど、『週刊東洋経済』2010年12月11日号でも、「為替大図鑑」が特集になっていますので、こちらも合わせて読むと、一層理解が深まると思います。



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2010年12月12日日曜日

大学って、日本には773校もある。

いつものようにBLOGOSからです。【773校】日本の大学は全部必要なのか」と題された、大木豊成氏の記事を読みました(元ネタは、「オルタナティブ・ブログ「走れ!プロジェクトマネージャー!」から同名タイトルの記事です)。
 2009年度時点での数だそうですが、そんなにあるんだぁってのが正直なところですね。そんなにあれば、そのうち400校以上が定員割れになるのも、仕方がないって思いますね。
正直、そんなにいらないと思います。

一時期、かつて短大だったところが4年制大学になったり、新設校が出来たりした時期がありましたが、その結果が、少しでも学生を確保するために、6月ころからAO入試が始まったり、推薦の数が増えたりしたわけです。高校にすれば、そりゃ、一人でも多く4年制大学に進学してくれる方が良いような気がするので、とにかく受かってくれればという気持ちがあります。
ただその結果、学力が低いということで、大学に入ってから高校の復習をやっているところが増えているという、皮肉な結果になってしまっているわけですね。

しかしよく考えれば、4年制大学に進学することが必ずしも良いわけではなく、高卒でもきちんと仕事につければそれで良いわけです。正直に言うと、現状では大学に進学する必要のないような生徒まで、進学させてしまっています。 大学に進学すれば高卒よりは賃金が良い仕事につけるというのを、その理由にしていましたが、現状ではそれも言えないわけです。だったら、高校卒業してすぐに仕事について、大卒よりも早く仕事を覚えたほうが、結果的には良い場合もあるでしょう。
ただ、現在では大学全入時代のため、明確な意志を持たない生徒に対して、高校教員も4年間のモラトリアムを享受させるために、進学を進めてしまっているのが現状という部分もあるように思います(これは自分自身への反省でもあります)。

生徒によっては、進学することで4年間のモラトリアムをうまく活かすことができる子もいますので一概には言えませんし、高校時代に全てが判断できるわけではないので、簡単に答えが出せず難しいところです。
ただもう少し進学についてしっかりと考えるために、大学数はもう少し少なくなって、現在のように一部の大学に厳しい受験競争があるのではなく、全体的に多少の受験競争がある状況の方が、現状よりは良いのではないかと思います。 
そうなれば、大学への進学率も下がるでしょうから、大卒も意義のあるものに戻るでしょう。やはり大学は、進学しないとその仕事に付けないという者だけが行けば良いというところであるべきだと思います。むしろそのほうが自然だと思います。

2010年12月11日土曜日

長野県松川村立松川中学校3年C組のみなさん、君たちはえらい!

ブログ「地元紙で識るオキナワ」12月10日に、長野県松川村立松川中学校の3年C組の生徒さん達がつくった、『沖縄新聞』のことが出ていました。

NIEの授業の一環として、『沖縄新聞』を発行したそうですが、長野県の中学生や沖縄の普天間中の生徒などにアンケートをとったり、『沖縄タイムス』の記者や沖縄出身の歌手などにインタビューをしていたり、とてもよく出来ていて、授業の一環のレベルをはるかに超えた素晴らしい出来です。

松川中学校のつくった『沖縄新聞』の話題は、12月9日付けの『沖縄タイムス』の一面を飾り、社説でも、その素晴らしさをたたえています。

『沖縄新聞』は、『沖縄タイムス』のHPでPDF版で読めますが、その概要はつぎの通りです。

1面「沖縄の中学生は願う」 (231 KB)
2面「壊してほしくない~辺野古の自然と住民の生活~」 (147 KB)
3面「基地返還で沖縄は変わる!」 (247 KB)
4面「海に 陸に 空に 沖縄に残された傷跡」 (192 KB)
5面「沖縄より守りたかった国体」 (142 KB)
6面「二度と過ちを犯すこと勿れ!」 (213 KB)
7面「ひめゆり学徒隊 平和への祈り」 (185 KB)
8面「ユキヒロの思い―「HEIWAの鐘」に乗せて」 (203 KB)
9面「沖縄の文化と宝」 (230 KB)
10面「若者に託す思い」 (205 KB)
11面「命どぅ宝(命より大切なものはない。)」( (168 KB)
12面「本に託す 記憶・心」  (176 KB)

3面に、「社説」ならぬ「級説」というのがあり、そこには沖縄の基地からアフガニスタンへ出撃しているという事実を指摘し、その矛盾を提起しています。そのうえで、「これからのことや沖縄県民の苦しみを知った上で、もう一度、沖縄に基地が必要かを考え直すべきたと思います。」と主張しています。


中学生でも、こんなに立派な主張ができるのに、本土の新聞社は何をしているのでしょうか。


『沖縄新聞』は、長野県内の全中学校に送ってしまったため、残念ながら松川中学校にも残部がないということですが、このような素晴らしいものは、もっと多くの方に読んでもらいたいですね。
長野県NIE推進協議会のHPでも見れるようになっていますが、印刷ができないので、協議会で印刷したものを実費で販売しないかなぁ。

2010年12月10日金曜日

『週刊金曜日』2010年12月10日 827号

佐藤優氏の「佐藤優の飛耳長目」に、「再選、仲井眞知事を襲う外務省沖縄事務所の策動」というタイトルで、今後の「普天間問題」に関する、外務省の策略について語られています。

詳細はさておき、とにかく結論としては、

これから沖縄と東京の政治エリートの政治生命を賭した戦いが始まる。沖縄がこの戦いに勝つためには、完了陣営の先兵である外務省沖縄事務所の活動を徹底的に監視し、策動できなくすることだ

ということのようなので、沖縄の方たちには注意していただきたいですね。

佐藤優氏のこの記事で初めて知りましたが、外務省には沖縄担当大使というポストがあるそうで、それには主要国の大使になってもおかしくない人物が任命されるそうです。また、外務省沖縄事務所にはワシントンやモスクワの日本大使館に設置されているのと同じ高度な暗号をかけることができる通信機材と暗号の専門家が配置されているということです。

つまり、外務省は沖縄を完全に外国と同じ扱いをしているということです。それも、高度な暗号をかけるようなワシントンやモスクワのような重要な相手(対応を間違えると大問題になるという意味の重要性)であるということなのです。

ようは、沖縄との関係は一種の外交関係であり、外務省はいろいろなカードを使って圧力をかけて、自分たちのシナリオを完成させようとするのです。

これではっきりしました。やはり沖縄は日本とは別の国なのであり、沖縄の現状は日本の植民地状態なんだということが。

本当の戦いはこれからです。仲井眞知事は何があっても、一歩も譲らずに「県外移設」を貫き通さなければいけません。そのためには、沖縄の人たちががんばらないといけませんし、日本はもとより全世界にいる沖縄・琉球の遺伝子を持つ人々がその支えにならないといけません。なんでもいいです。それぞれが沖縄を思って、出来ることをすれば。
簡単に「独立」とは言いませんが、実際日本政府にそう思われているのなら、いっそのこと本当に「独立」して、米軍基地は全て日本に返還する、その思いを温めながら、私はこの問題を行く末を見守っていきたいと思っています。

2010年12月9日木曜日

「大学ならなんでもいい」では、ダメ!

BLOGOSの12月7日に、松岡祐紀氏の「「大卒」という資格の幻想」という記事が出ていました(元ネタは、アゴラの同タイトル記事です)。

2007年頃から大学全入時代に入り、大学に行くことだけで「資格」とならなくなった今、それに気づかず身分不相応な大企業に未だに応募し続けている学生が、現在の就職難という事態を引き起こしているのではないだろうか?
企業側が新卒の募集要領に「大卒」と明記すれば、それはすなわち「誰でも知っている一流大学の卒業者に限る」ということであり、地方の無名大学出身者など初めから相手にしていない。この事実に気付いていない大学生がとても多い。
 
今の時代、就職に有利になるために大学に入るのであれば、「一流大学」に入学する以外あまり意味がない。それ以外の大学に入った大学生はすでにその時点で、就職レースにおいては圧倒的に不利な立場に立っており、これを覆すことはほとんど不可能に近い。」 


まさにおっしゃるとおりだと思います。しかし、高校3年生の段階で、そのことを意識して進学する生徒はあまり多く無いというのが現実です。
おまけに、昨今の不況の影響で、地元から近い大学への志向が、ここ数年は強いです。下宿すると高くつくというのは、高校などで行う進路講演会の席などで話が出ることが多く、それを聞いた保護者は、お金が大変だから、家から通えというわけです。本当に明確な目標を持っている生徒は、それでも自分が目標とする大学を目指しますが、とりあえず大学ならどこでもいいと思っている生徒は、保護者の要求を受け入れるわけです。
東京、神奈川や京都、大阪などでしたら、地元に多くの大学がありますからそれでも良いのですが、 それ以外の地域では、当然行く大学が限られるわけで、実力がありながら、地元優先で考える生徒は本当にもったいないです。保護者からすれば、「なんて親孝行な」ということになりますし、生徒本人もそれに満足しますが、まさか、それが数年後の就職難に結びつくなどとは親子とも考えもしないわけです。

ただ、これだけ就職難であることを考えると、こういう生徒が多いのだと思います。ましてや、「現在は学歴社会ではない」という話が普通に言われていますので、高校生はそれを信じています。しかし、それは明らかに間違いなのです。たしかに昔のような意味での「学歴」が物を言う時代ではありませんが、松岡氏の主張のように、「一流」か「無名」かの二極分化の様相を呈しているために、多くの「無名」大学の学生にとっては、「学歴」が物を言うということが実感できないために、「学歴ではない」と思うのでしょう。あるいは、最近は有名大学の学生が就職に苦しんでいるのをテレビでやっていますから、それを見てなおさらそう思うのでしょう。

どうせ、大学に進学するのなら、「一流大学」を狙うに越したことはありません。安易に、「近い」ところや、AOや推薦で早く決めることができるところではなく、センター試験は1月ですし、私立大学のほとんどは一般入試は2月ですし、国公立大学の2次試験も同じです。今は3月でも受験可能な大学も多いですから、粘りに粘って、最後まで諦めない姿勢が大切なんだと思います。

ちなみに私が送り出した生徒のうち、3月まで頑張った生徒は、なんども落ちながら、最終的には、ほとんどが自分の目標とするところに入っています。
最近は同じ大学、同じ学部に何回も受験ができます。可能なかぎり多く受ければ、それだけチャンスも増えます。結局将来稼げる金額が変わってくる可能性が高いのですから、今はちょっと親に頑張ってもらって、後から返せば良いわけです。

おまけに、そうやって苦労して進学すれば、入学してから遊んでいるわけにもいかない、ということくらいわかるはずです。


さあ、受験はこれからです。

2010年12月8日水曜日

『COURRiER Japon』 Vol.074 JANUARY 2011

5周年だそうです。
最近購入するようになったのですが、もっと早くから読むようになっていれば良かったです。

今号の特集は「フランス、幸せの新しいかたち」です。
フランスには一度行ったことがありますが、その時はルーブル美術館だけで手一杯でしたが、日本との違いを強く感じて帰ってきました。
最近、年金問題をめぐって、高校生がデモを行っていたのがニュースになっていました。「フランス革命」の国ですから、そういうのも「あり」なんだろうなぁと思っていましたが、ある意味それをうらやましく感じる部分があります。日本でも1960年代にはそうでしたが、今の日本にはそういうパワーはありませんよね。

フランスも「先進国であ」り、「低成長である」という点だけは日本と同じですが、それでも、出生率はヨーロッパでも最高レベルですし、何故か国民は「幸せ」なのです。それは何故なのかを今号は追求しています。

フランス的「大きな政府」が日本にとってモデルになるかというと、私は無理だと思います。フランスと日本では、歴史的、文化的、国民性が違いすぎると思います。アメリカ型と比べる見方がありますが、確かにヨーロッパ型の方が、アメリカ型よりは日本に当てはめることができる部分が多いとは思いますが。
部分的にお手本にしてみるということなら良いと思います。例えば「脱成長」の考えかたなどは、贅沢になってしまった日本人が反省の意味も込めて、手本にすべきだと思います。日本だって伝統的にシンプルな生活が基礎にあるのですから。ただ、やはり今号を読んで思うのは、やっぱり日本とフランスとは違いが大きいということですね。

「100の革新的ビジネスモデル」のページもおもしろかったです。多少気になるものもあって、「もしかして、いけるか?(ベンチャービジネスが立ち上げられるか?)」などと思ってしまいました。ビジネスマンの方なら、なおさらヒントになるモデルがあることでしょう。

「行動経済学でわかる「幸福の法則」」もためになります。行動経済学は、最近ちょっと注目されていますから、このページを読んで、他の行動経済学の入門書にいってみると良いと思います。なお、本号のページは、ダン・アリエリー著『不合理だからすべてがうまくいく』(早川書房)の抜粋だそうなので、それを読んでみるもの良いでしょう。

なお、5周年特大号ということで、特別付録としてフランス・パリの「究極のビストロガイド」と、フランス語国営放送「TV5MONDE」の無料視聴パスワードが付いています。「TV5MONDE」はインターネット経由で視聴できます。画像もきれいですし、日本語の字幕は出るし、番組もドキュメンタリーが多くてなかなかおもしろいです。パスワードの使用期限は12月31日までですが、今からならまだたっぷり見れますから、オススメですよ。





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2010年12月7日火曜日

国際学力テスト(PISA)2009年調査結果発表

12月7日、経済協力開発機構(OECD)が、65の国・地域の15歳男女計約47万人を対象に2009年に実施した国際学力テスト(PISA)の結果を発表しました。

YOMIURI ONLINEでは、「日本の学力、改善傾向」と題されています。その結果は、「「読解力」が前回15位から8位になり、00年水準に回復し、「数学的応用力」は9位(前回10位)、「科学的応用力」は5位(同6位)と横ばい ということです。
また、これを受けて、「高木文部科学相は「読解力を中心に我が国の生徒の学力は改善傾向にある」と表明した」と報道されています。

ただ、この結果が果たして「改善傾向」にある結果なんでしょうか?確かに「読解力」だけは、多少上がっていますが、それだって前回が悪すぎただけで、今回は決して良い成績ではないと思います。それを大臣が「改善傾向」と発言するのは、どうなのかと。何故、「もっと頑張りたい」という積極的な発言ができないのでしょうか。これで良しとしていては、また次回落ちるのではないでしょうか。

何故そう思うのかというと、「OECDが「社会生活に支障を来す可能性がある」 とする下位層が3分野とも10%を超えた。」という報道が気になるからです。これが今後増えることはないだろうかという不安が強いのです。日本は今まで全体的な水準が高かったからこそ、経済的に成長できたのですが、格差が激しくなるおそれがあるということですと、日本全体の水準は下がっていく可能性もあると思います。そのような状況では、政治でも経済でも日本は世界的にどんどん落ちていく可能性がありうるということです。

この報道を、ちょっとおもしろい観点から報道しているのが、毎日jpです。
「新聞読むほど高学力 世界共通」って、これでは「だから、新聞を読みましょう」っていっているのも同然です。まぁ、それはそれでも良いのですが、「新聞を読むから学力が高い」のか、「学力が高いから新聞を読むのか」はわからないですよね。
少なくとも、読み始めは、「学力が高いから読む」のではないでしょうか?
しかし、新聞各社にとっては、新聞購読者が減少している中で、良い宣伝になりますね。新しい学習指導要領にも新聞ができてきますし、NIEがより注目されそうですね。

なお、OECDではこの他に、男女間の成績差や学級規模、教員給与、資源配分についての学校の自治の程度などの影響についての調査も行っており、それについてはOECD東京センターのHPに出ていますが、その部分を転載します。

  • 全ての国で読解力は女子が男子を上回っており、男女間の得点差は平均で学校教育1年分に相当する39点であった。男女間の得点差が2000年以降改善して いる国はひとつもなく、フランス、イスラエル、韓国、ポルトガル、スウェーデンでは拡大している。これは、読書を楽しみ、余暇に読書をする男子が減少して いることを反映している。
  • 最優秀の学校制度は最も公平な学校制度(社会経済的背景と関係なく、生徒が好成績を収めている)であった。早い段階で能力に基づいて生徒を選抜する学校では社会経済的背景による成績差が極めて大きい。
  • 好成績を収めた学校制度は、学級規模を小さくすることよりも、教員給与を高くする方を優先する傾向がある。
  • 生徒の留年率が高い国は往々にして全体の成績が悪く、貧困家庭の生徒と富裕家庭の生徒間の成績差も大きい。生徒の留年率が最も高いのはベルギー、フランス、ルクセンブルグ、ポルトガル、スペインである。
  • 好成績を収めた学校制度は学校にカリキュラムの設計や評価方針の構築については認めているが、必ずしも入学競争は認めていない。
  • 規律が正しく、生徒と教師の関係も良好な学校ほど、生徒の読解力は高い。
  • 生徒の家庭環境を考慮に入れると、公立学校と私立学校の間に成績差はない。
  • 自治と効果的なアカウンタビリティを兼ね備えていることが最優秀の成績をもたらしているように思われる。
  • 趣味として読書すると回答した生徒の比率は、2000年の69%から2009年には64%へと低下した。

2010年12月6日月曜日

YouTubeに公式チャンネルをNHKエンタープライズがオープン

ITmediaを見ていたら、TOP STORIESにNHK特集」などYouTubeで無料配信 「権利処理された映像を見る習慣を」との文字がありましたので、見てみると、YouTubeでNHKの過去の番組などを無料配信するチャンネル「NHK番組コレクション」が開設されたという記事でした。

これ、いいですよ。今日12月6日からなので、まだアップされている番組はそれほど多く無いですが、今後毎週新しい番組が追加される予定だそうです。

「NHKへの接触者層を増やしたい。NHKはあまり見ていないが、YouTubeは見ているという人は多い。そういう人に親しみを持ってもらいたい」ということなのでそうですが、確かにパソコンの前に座っている時間が長ければ、当然テレビを見る時間は少ないでしょうから、この方法なら、見る人は増えるかも知れません。

もともと我が家では、NHKをよく見るというか、NHKがついている時間がかなり長いのですが(子どもたちがNHK教育を見るので)、私自身は地上波デジタルにしてからは、BSをよく見るようになっていますので、以前よりはNHKを見る時間は減っているのですが、YouTubeで見ることができるようになれば、授業のときなどにも活用できるので、大変便利だなあと思っています。
NHK教育の番組などもアップされるようになるといいなあと思います。

ただ、ショートクリップからNHKのDVD販売サイトやNHKオンデマンドにも誘導されるのはどうかと思います。第一、NHKのDVDは高いですよ。公立学校での教材費から捻出するのは、かなり厳しい値段です。まあ、そのあたりをYouTubeで見ることができるようになれば良いのですが。

2010年12月5日日曜日

「内定率が史上最悪なのは◯◯な学生が増えているから」という見解について

12月5日のBLOGOSトピックスに「バカな大学生が増えた理由」とのタイトルがあります。木走正水氏の記事なのですが、正式なタイトルは内定率が史上最悪なのは馬鹿な学生が増えているから」なので、トピックスの表現は少しひどいかなぁと思います。まぁ、木走氏もかなりズバリ言っていらっしゃいますが。(このブログのタイトルで、あえて〇〇にしたのは、私としてはタイトルにはちょっときついかなと思ったからです。元ネタは、木走氏のブログ「木走日記」の同名タイトルの記事です。)

ただ結論的に私の意見は、木走氏の意見に、ほぼ同感です。以前のブログ記事にも書きましたが、最近はあまりにお粗末な知識しか持たない学生が増えているような印象があります。それを就活のせいにすること自体が、そもそもお粗末だと思います。考えかたが幼い感じがします。

しかし、おそらく高校教員ならば、それを十分認識していることでしょう。高校に入学してくる時点で、いつの頃からかそのような生徒が多くなっていると感じているはずです。いつの頃かは、やはり「ゆとり教育世代」が出てきた頃から、という印象が強いように思います。あくまでも、そのころからかなという漠然としたイメージですが。


3年間で、そのような生徒をどこまで成長させることができるかが、高校教員に課せられた一つの課題だと思っていますが、現実そのような生徒を前にして、全ての生徒を一律の水準にすることは、かなり難しいのが事実です。
私だって、諦めているわけではありません。何とかして、それぞれの生徒を成長させたいと頑張っているつもりですが、生徒それぞれがもともと持っているモチベーションや力量にかなり個人差があるので、それを社会の期待に答えるレベルにまで、全てを持っていくことは事実上不可能なのです。

中学、いや小学校段階から、取り組んでいけば可能になるでしょう。 その意味では、学習指導要領が改正されて、授業時間が増えることで、どのような変化が起こるか、楽しみなところではあります。逆に、これからの子どもたちが少し違ってくれば、やはり原因は「ゆとり教育」にあったんだということがわかるでしょうし、もしそうでなければ一体何が原因なのか、もっと突き詰めていかなければならないと思います。そうしなければ、日本の未来展望はあまり明るくないと言えるでしょう。

我々はもっとその問題の重要性を強く認識しなければいけません。ただ、「馬鹿な学生が増えた」と批判するだけでは、日本の未来はよくなりません。その原因を追求し、それを解決していかなければ、今を生きる「大人」としての責任を果たしていないことになると思います。

2010年12月4日土曜日

教員になるために求められるもの

ちょっと前ですが、11月30日のBLOGOSトピックスに、Willy氏の「教員に求められる資質とは」と題された記事が出ていました(元ネタは、Willy氏のブログ「統計学+ε」の同名タイトル記事です)。

 文部科学省(以下、文科省)が、現在の教員免許制度を変更し、「正規教員となるためには修士レベルを必須とする新制度を検討」していることに対するものです。

人気があり生涯賃金の高い職種に大学院終了を義務づけて、大学が学生数や収益を確保するために、教員に修士を義務付けることができれば、かなりの「教員養成需要」が発生する、という文科省の思惑があるようです。

「学部は真面目にお勉強をしていれば卒業できるのが基本だが、大学院は大人として自主的かつ能動的に勉強や研究をしなければならない。成果を論文という形できちんと表現する必要もある。そうした学問に触れた経験は、教育者にとって有用だ。ただし、それを必須とすべきかに関しては意見の分かれる所だろう。」とするのがWilly氏の考えのようだが、結論としては「中学・高校教員に最も必要なのは、学歴ではなく一般企業などにおける職務経験だ。 
社会が変化するに従い、生きていくために有用な知識や技能は変化し、教育もそれに合わせて変化する必要がある。」と主張されています。
 
確かに職場経験も必要だとは思いますし(事実、10年経験者研修などでも数週間の職場研修が取り入れられていたりしますので)、文科省の言うように、修士レベルにするのもいいかも知れません(一時話題になったフィンランドでは、教員は修士ですね)。
 しかし、教員は子どもたちと接することで初めて教員になります。

ですから、教育現場に立つ前にいくら勉強したところで、多少役に立つこともあるかも知れませんが、それが全てではないのです。
修士レベルにするのならば、教育実習をもっと充実させて、例えば実習を受けるためには、採用試験受験を前提にするとか、修士の2年間を教職専門大学院にして、2年間教育実習にしてしまうとかにして実務経験を積んでから、正式採用にするのが良いと思います。

それから、中学校、高校の教員の専門性については、リカレント教育の機会をもっと増やすことで、定期的に知識をブラッシュアップさせることが必要なのです。
さらに、教員の専門職としての立場をもっと全面に押し出す必要があると思います。今の教員は、特に義務教育の先生方は、子どもたちと向きあう時間が大幅に減ってしまっています。事務的な仕事はもっと減らすべきです。子どもたちと接しているからこそ、見えるものというのは多いのです。事務仕事をすることが教員の本来の仕事ではありません。

教員は子どもたちに真剣に向きあい、一緒に笑い、一緒に泣くことで、教員になれるのです。それは相当のエネルギーが必要になります。ですから、教員にその時間や体力、気力を与えなければならないのです。教員自体に余裕がなければ、それは出来ません。
しかし多くの先生方は、忙殺される中でも、現場に居るからこそ、子どもたちと真剣に向き合うことの大切さに気づき、真剣に向かおうとするので、「心の病気」が多くなってしまっているのです。


少なくとも何回も採用試験に落ちてでも教員を目指そうとする人たちは、教員になるための情熱は十分に持っているはずです。ですから、現場を経験して、そのなかで教員としての資質が養われていくことで、教員となれるはずです。そして、正式に採用になってからは、子ども達と真剣に向き合えるだけの余裕を与え、定期的に専門性をブラッシュアップできるチャンスを与えるような制度にしていくことこそ、文科省が考えなくてはならないことだと思います。教員免許の更新制を行うのなら、今述べたような形式に変えていけば良いのではないかとも思っています。


これは、あくまでも一現場教員の考えですが、逆に言えば学校現場では、このようなことを求める考えもあるということです。

2010年12月3日金曜日

『週刊東洋経済』でも、カメラ特集!

2010年12月4日号の特集が、「カメラ新世紀 モノ作りニッポン最後の砦」と表紙にありますが、「中高年から女子まで夢中! 日本のカメラ最前線」の文字。

中高年のカメラマニア(あっ!私か)がいうカメラはフィルムカメラで、若い人のカメラはケイタイ(いいとこデジカメ)なんだろうと思っていましたが、書店のカメラ雑誌のコーナーをよく見ると、最近は『女子カメラ』なんていう、女子向けのカメラ雑誌が何冊かあるんですね。
ちょうどDIMEも増刊号で、『女子DIME』なるものが出ていて、スマートフォンと並んで、カメラが特集ですし(『DIME』も特集もはスマートフォン)、『BRUTUS』も合わせるように写真特集です。

女子カメラ雑誌では、ケイタイでうまく取る方法とかが載っているんだと思っていたら、LOMOやHOLGAなどのいわゆるトイカメラが紹介されていたり、場合によっては、オリンパスペンやFUJIのクラッセなど昔のコンパクトカメラが紹介されたり、かなり本格的です。意外と、中高年のカメラマニアが見てもおもしろいですよ。

よく考えれば、「梅佳代」なんかの写真集がしばらく前に話題になっていましたね。どうも、そのへん当たりから、トイカメラ人気もあって、女性の間でカメラが人気のようなのです。
ただ、残念ながらフイルムカメラは衰退の一途をたどっています。唯一明るい話題と言えば、ポラロイドファイルムが復刻されたってことでしょうか。せっかく、女性にも人気になっているのなら、フイルムカメラも、もう少し復権して欲しいです。女性のみなさん、フィルムカメラっておもしろいですよ。

それはそうと、『週刊東洋経済』で何故今カメラなのかと思ったら、「iPhoneでここまで上手に撮れる!!」なんてページがあって、『週刊ダイヤモンド』2010年12月4日号の特集が「スマートフォン革命」ですから、つまり根底は同じなんですね。
ようは、デジカメの延長線上に、スマートフォンがあるってことなんでしょうね。

ただ、『週刊東洋経済』は、経済誌の割には結構カメラ雑誌的な部分が多くて、いつもの経済誌的硬さは、いくらか和らいでいるように思います。ただフィルムカメラの話題は、「マニア編」(!)に出てくるってのが悲しいです(笑)
でも、フィルムカメラもまんざらマニアックではないという証拠が、特集の中にありました。「カメラ女子の間で大流行?リコーGR人気の秘密・・・」というページがあるではないですか!!往年の高級コンパクトカメラ、GRシリーズはなんと昨年8月の『an.an』に出ていたというのですよ。
欲しかったんですよ、GR1。もう、関連本だけは何冊も持っていましたけど、結局高くて買えずじまいで今に至るわけですが、再注目されているってことは、中古市場に再び出回り始めているってことですか?いや、よく読むと違うようです。GRデジタルの方みたいです。でも、いいんです。リコーのカメラの良さが再び注目されているだけで。別にリコーに知り合いが居るわけではないですけど。

古くてもいいものはいいってのが、このデフレ不況の時代に再び見直されるのはかなり大事だと思います。昔のモノのほうが、モノにも可愛げがありますよね。何か今の新しいものって、可愛げがないというか、暖かみに欠けるような気がするんですよね。そう思うのは、私がどちらかというとアナログ人間だから、ってわけではないと思うんですけど。

なんせ、ここ最近の『週刊東洋経済』にしても、『週刊ダイヤモンド』にしても、円高やデフレ、不況などの問題で、人が見えない話題が多くて。でも、本来経済も人間あってのものですから、その意味では久々に人の姿が見える特集のような気がしました。











2010年12月2日木曜日

『うるまネシア』第11号









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2010年12月1日水曜日

アメリカで公務員の給与が二年間凍結

オバマ大統領が、連邦政府の全ての事務職を対象に、2年間の給与凍結を発表しました(詳細はこちら)。

アメリカの話が何か?と言うなかれ。かつては、「アメリカがくしゃみをすれば、日本が風邪を引く」と言っていましたが、現在だって同じこと。

赤字の削減を狙ってのことですが、その効果はおそらくわずかです。それよりもむしろ、そのことにより景気が悪くなることが心配されます。アメリカの景気が悪くなれば、当然日本にだってその影響は出ます。それどころか、グローバル化の現在、世界的に影響が出ることさえ、懸念されるのです。

先週の「ブラックフライデー」のニュースを見て、びっくりしました。ものすごい人出、一人でいくつもの袋をかかえている人でごった返している様子は、それだけお金を使える状況にあることがうらやましいですよね。
この期間、アメリカ人は本当に大量に買いものをするようで、CNNによると、消費者の出費総額はこの4日間で450億ドルで、ネットでの売上も好調ということです。
私が見たニュースに出てきた男性客は、「給料が増えたから、たくさん買い物ができる」とコメントしていました。アメリカでは消費者レベルではやや景気の回復が実感されているようですね。この後もクリスマスへ向けて消費が伸びていくのが例年のようですから、この凍結のニュースが消費者の財布のひもに影響しなければ良いのですが。

日本ではどうでしょうか。日本でもさかんに公務員の給与削減が進んでいます。世間ではそれを歓迎するムードが強いですが、はたして本当にそれで良いのでしょうか?
もちろん私自身が公務員ですから、当然給与の削減はないほうが良いと思っているのは間違いないですが、アメリカの話のように、それが日本の景気の回復を遅らせている一因になっているのではないでしょうか?
否、一部では景気が回復している向きのあるように聞きますが、消費者レベルではそれを実感できるようにはなっていませんよね。ですから公務員だって、給与カットは痛いけれども仕方がないという部分が強いわけです。しかし、それによって、結局日本人全ての財布のひもが硬くなってしまっていて、これからクリスマスや正月に向けて、消費が伸びるでしょうか?消費が伸びなければ、当然景気の回復は見込めません。それでいいのでしょうか?

聞くところによると、高校授業料無償化が、結構利いている部分もあるようです。一昨日のブログに書きましたが、授業料無償ではなく、中卒者への給付金にしたほうが、景気の回復にもつながるのではないかと思うのですが。
景気が回復しなければ、結局現在の高校生が社会に出る頃に、まだ就職難と言う状況があるかも知れません。そのほうが、今授業料が無償ではないことよりも、痛いのではないかと思います。現在、授業料無償のありがたみをあまり実感していない高校生でも、就職が厳しいことのほうが大変だということくらいはわかります。
実際計算したわけではないですが、授業料を払うことよりも、就職が大変な方が、家計は経済的に厳しいのではないかと思います。給付金にして、高校の授業料に当てる人もいれば、そうではない人もいるでしょうから、そのあたりはそれぞれの家庭の事情に任せれば良いわけで、授業料無償よりは中卒者に対する給付金の方が、経済効果があるのではないかと思うのですが・・・。