表紙は、丹地敏明氏撮影の、凍った滝の写真です。実に壮大なイメージの素晴らしい写真です。暖かい部屋で、のんびり、このような雄大な写真を見ることができるのはとても幸せな気分です。
丹地氏は74歳になられるそうですが、特集のタイトルは「楽に楽しく撮る」。巨匠だからこその発言なのでしょうが、インタビューのなかでも、「苦労しちゃダメ、楽しんで撮らなきゃ」とか、「作品集を作るのだって、難しく考えず、楽しくですよ」とかの発言がありますが、自分もそのくらいの年齢になったら、このような発言ができるような年のとり方をしたいです。
インタビューの二人目は、百々俊二氏です。百々(どど)なんて、とても珍しい苗字ですね。ビジュアルアーツ専門学校・大阪の校長である百々氏の、本書のテーマは「大阪」。
8×10でスナップするんだそうです。240ミリで絞りは夜はF22、絞り込んでF32、昼でもF64ということですから、歩行者は消えちゃいますね。事実、本書にも京橋の飲み屋街を、F45、10秒で撮ったというモノクロ写真が出ていますが、呼びこみの人以外は消えちゃっていて、モノクロで夜の繁華街という、とてもおもしろい写真になっています。ただ、とにかく、バイテンでスナップとは、驚きです(写真に詳しくない方にとって、バイテンで驚いているというのはよくわからないでしょうが、8×10、通称バイテンってのは、観光地などで記念撮影をするときに使う大きな脚付きのカメラと言えばわかるでしょうか)。
「モノクローム珠玉の名作選」は、ルネ・ブリです。ルネ・ブリの名前は知らなくても、キューバ革命の英雄、葉巻を加えた戦闘服姿のチェ・ゲバラの写真は、見たことがある方が多いでしょう。それを撮った写真家です。ただルネ・ブリよりは、やはりゲバラのかっこよさですね。「このページに載せる写真を選ぶうえで、いつも迷うのは、紹介する写真家の誰もが知る代表作にするか、それとも知名度では劣っていてもその人らしい一枚にするか、ということ。(中略)今回のルネ・ブリの場合は方向転換。もっとも有名な作品を選びました。なぜなら、彼の数多い秀作の中でも、印象深さとインパクトという点でこの一枚がダントツだからです。」という編集者の解説がありますが、ゲバラの写真で大正解ですね。ルネ・ブリの名前は、このゲバラの写真によって知られていると言っても過言ではないからです。正直言って、私もルネ・ブリはゲバラの写真を撮った写真家ということしか知りません。それにしても、ゲバラはかっこよすぎです。男の憧れですね。
憧れと言えば、今回の「フィルムカメラパラダイス」で取り上げられている、「ローライ35」は個人的にとっても憧れているカメラなんです。レンズはカールツァイスのテッサー40ミリF3.5、内蔵露出計はゴッセン、これが手のひらに収まるほどのコンパクトなボディーに収まっているんです。
本書で取り上げられているのは、「ローライ35S」。レンズはゾナーHFT40ミリF2.8の高級タイプですが、これも素晴らしいです。これで「スナップするのは快楽だ。」との赤城耕一氏のコメントがありますが、そうでしょう、そうでしょう、いいなぁ~。
子どものようにお年玉はないし、ボーナスの時には、女房にロールズの『正義論』を買うからと、なんとか3万円もらったわけですが、とても「ローライ35」には手は出ず、私にとって「ローライ35」は、当面憧れのカメラであり続けることになるでしょう。
なお、本書の購入はこちらでどうぞ。
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