今号は、大学の同窓生でもある社会学者の宮台真司氏との対談が特集になっています。タイトルは、「「正義」について論じます」。
マイケル・サンデルブームにより政治哲学が流行っている中で、大物社会学者の二人が「正義は可能か?」をテーマに語っていて、とてもおもしろい対談になっています。
対談:正義は可能か?
・善と正義の違い
・「市場か再配分か」は遅れた議論
・「みんな」は本当は「みんな」ではない
・沖縄の自己決定的な自立
・資本主義は持続出来るか
・何がミメーシスを引き起こすのか
・なぜ性愛について書くのか
・不可能性への志向
目次を見るとわかるかも知れませんが、二人の対談は「正義」にとどまらず、かなり先にまで進んだ議論になっています。特に宮台氏は感染、感染的模倣を意味する「ミメーシス」を中心に語っていてます。
この「ミメーシス」、ネット社会の現代においては、重要な概念だと思います。TwitterやFacebookの影響力は、まさに「ミメーシス」であり、それは様々なところで大きな影響力を持っています。
またもう一つ、大澤氏も宮台氏もそれぞれ、「沖縄問題」について触れています。大澤氏は朝日新聞社のWEBで電子書籍の形式で発表した、基地移転を「県外」ではなく、「圏外」とする『緊急発言 普天間基地圏外移設案』で述べた内容の話をされています。
宮台氏も「マル激トーク・オン・ディマンド」やブログなどでも「沖縄問題」について発言されていて、今号では、『日本の難点』で述べた内容をもとに発言されています。ともに具体的な指摘であり、沖縄県知事選挙が終了し、本格的に「普天間基地問題」に取り組まなければならない今こそ、より重要になっていると思います(なお、「マル激トーク・オン・ディマンド」で扱った「沖縄問題」に関しては、11月に『沖縄の真実、ヤマトの欺瞞 米軍基地と日本外交の軛』と題して書籍になっています)。
また、『THINKING O』での対談で述べた内容と同じような内容の発言が、宮台氏のブログでもまとめられていますので、こちらも合わせて読むと良いでしょう。
そしてこの対談を受けて大澤真幸氏が書かれた、「二つのミメーシス 宮台真司の論を手がかりにして」と題した論文も掲載されています。
論文:「二つのミメーシス 宮台真司の論を手がかりにして」
1 感染的模倣
2 「理想自我」と「自我理想」
3 利他的行為の倒錯
4 もうひとつのミメーシス
この論文の中で、大澤氏は「ミメーシス」はマックス・ウェーバーの「カリスマ」概念に近いものであると指摘しています。
また「理想自我」と「自我理想」の概念も、重要な指摘です。
ロールズ『正義論』の新訳本も刊行されたことですし、まだしばらくは政治哲学がおもしろそうですね(新訳『正義論』、欲しいですが、何であんなに高いんですかねぇ。今、これだけ話題になっているのですから、もう少し安ければかなり売れると思うのですけど。年末年始の何かと入用なこの時期に、税込7875円は厳しいですね。でも、楽天ブックスを見たら、このエントリーを書いている現在、「品切れ」になっていますので、この値段でも売れているんですね。Amazonはまだあるようですが、早く買った方がいいかなぁ)。
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