2010年12月7日火曜日

国際学力テスト(PISA)2009年調査結果発表

12月7日、経済協力開発機構(OECD)が、65の国・地域の15歳男女計約47万人を対象に2009年に実施した国際学力テスト(PISA)の結果を発表しました。

YOMIURI ONLINEでは、「日本の学力、改善傾向」と題されています。その結果は、「「読解力」が前回15位から8位になり、00年水準に回復し、「数学的応用力」は9位(前回10位)、「科学的応用力」は5位(同6位)と横ばい ということです。
また、これを受けて、「高木文部科学相は「読解力を中心に我が国の生徒の学力は改善傾向にある」と表明した」と報道されています。

ただ、この結果が果たして「改善傾向」にある結果なんでしょうか?確かに「読解力」だけは、多少上がっていますが、それだって前回が悪すぎただけで、今回は決して良い成績ではないと思います。それを大臣が「改善傾向」と発言するのは、どうなのかと。何故、「もっと頑張りたい」という積極的な発言ができないのでしょうか。これで良しとしていては、また次回落ちるのではないでしょうか。

何故そう思うのかというと、「OECDが「社会生活に支障を来す可能性がある」 とする下位層が3分野とも10%を超えた。」という報道が気になるからです。これが今後増えることはないだろうかという不安が強いのです。日本は今まで全体的な水準が高かったからこそ、経済的に成長できたのですが、格差が激しくなるおそれがあるということですと、日本全体の水準は下がっていく可能性もあると思います。そのような状況では、政治でも経済でも日本は世界的にどんどん落ちていく可能性がありうるということです。

この報道を、ちょっとおもしろい観点から報道しているのが、毎日jpです。
「新聞読むほど高学力 世界共通」って、これでは「だから、新聞を読みましょう」っていっているのも同然です。まぁ、それはそれでも良いのですが、「新聞を読むから学力が高い」のか、「学力が高いから新聞を読むのか」はわからないですよね。
少なくとも、読み始めは、「学力が高いから読む」のではないでしょうか?
しかし、新聞各社にとっては、新聞購読者が減少している中で、良い宣伝になりますね。新しい学習指導要領にも新聞ができてきますし、NIEがより注目されそうですね。

なお、OECDではこの他に、男女間の成績差や学級規模、教員給与、資源配分についての学校の自治の程度などの影響についての調査も行っており、それについてはOECD東京センターのHPに出ていますが、その部分を転載します。

  • 全ての国で読解力は女子が男子を上回っており、男女間の得点差は平均で学校教育1年分に相当する39点であった。男女間の得点差が2000年以降改善して いる国はひとつもなく、フランス、イスラエル、韓国、ポルトガル、スウェーデンでは拡大している。これは、読書を楽しみ、余暇に読書をする男子が減少して いることを反映している。
  • 最優秀の学校制度は最も公平な学校制度(社会経済的背景と関係なく、生徒が好成績を収めている)であった。早い段階で能力に基づいて生徒を選抜する学校では社会経済的背景による成績差が極めて大きい。
  • 好成績を収めた学校制度は、学級規模を小さくすることよりも、教員給与を高くする方を優先する傾向がある。
  • 生徒の留年率が高い国は往々にして全体の成績が悪く、貧困家庭の生徒と富裕家庭の生徒間の成績差も大きい。生徒の留年率が最も高いのはベルギー、フランス、ルクセンブルグ、ポルトガル、スペインである。
  • 好成績を収めた学校制度は学校にカリキュラムの設計や評価方針の構築については認めているが、必ずしも入学競争は認めていない。
  • 規律が正しく、生徒と教師の関係も良好な学校ほど、生徒の読解力は高い。
  • 生徒の家庭環境を考慮に入れると、公立学校と私立学校の間に成績差はない。
  • 自治と効果的なアカウンタビリティを兼ね備えていることが最優秀の成績をもたらしているように思われる。
  • 趣味として読書すると回答した生徒の比率は、2000年の69%から2009年には64%へと低下した。

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