2011年1月12日水曜日

新学習指導要領はPISA対応型?

今年の4月から、小学校での新学習指導要領が全面実施となります。学力向上を目指した新学習指導要領では、小・中学校の授業時間数が現在よりも増えるため、公立学校関係者の間では、土曜授業の実施を求める声が少なくなかったため、昨年1月には東京都が月2回までの土曜授業実施を認めたことは、ニュースにもなりましたので、ご存知の方も多いと思います。その時、他にもこの動きに続くところが出てくるのかと思われましたが、実際にはそういう自治体は出てきませんでした。しかしここに来て、土曜授業実施を表明するところが出てきました。
この動きについて、「Benesse教育情報サイト」の教育動向トピックスに1月11日付けで、土曜授業に「復活」の動き 授業時間増、猛暑も影響!?」と題した記事があります。

記事によると、「都内では現在、ほとんどの公立小・中学校が何らかの形で土曜授業を実施している」ということのようですので、今年4月以降の土曜授業は特別に新しいことでもないようですが、他の地域ではどうなんでしょうか。土曜日が授業日というのは、私が子どものころは当たり前でしたし(半日でしたので、「半ドン」って言っていました 。)、自分が教員になった最初のころは土曜日は勤務でした。それが隔週になり、週5日になりましたので、今では土曜授業はかえって新鮮な感じがします。
ただ土曜授業になると、中学校の部活動や、小学校のスポーツ少年団の活動に影響が出るでしょうね。そのへんはどうするのでしょうか?でも、昔はそれが当たり前で、そのなかで部活動やスポーツ少年団の活動をしていましたから、30代以上の人にとっては、自分たちが子どもの頃に戻ったと思えば、特別なことではないでしょう。

そうまでして実施する新学習指導要領は、「PISA型学力」の育成を目指していると言えるものです。PISAは、授業で習ったことそのものではなく、その知識を使って実生活にどれだけ活用できるかを問う問題が出題されます。つまり、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」と呼ばれる能力です。「リテラシー」とは、「活用能力」のことですから、学校で学んだ知識をもとに、「自ら考え、問題を解決する力」を身に付けることが、新学習指導要領で求められていることなのです。このことについても、「Benesse教育情報サイト」の教育動向トピックスに1月6日付けで、「「PISA型学力」本格育成へ 小学校で新指導要領スタート」と題した記事があります。

 ですから、新学習指導要領の成果を知る指標として、今後ますますPISAの順位が気にされる様になるでしょう。今まで以上に、PISAの順位に一喜一憂するのかと思うとちょっと引きますが・・・・・。
「Benesse教育情報サイト」の記事には、「PISA型学力を育成することは、何も国際的な順位を上げるためではありません。全国学力テストにしても同じことです。」と書かれていますが、はたしてそうなるでしょうか。全国学力テストって、結局PISAのための模擬テストだったわけですから、新学習指導要領がPISAの国際順位を上げるために導入されたんだと思い込んで実施する人がほとんどなのではないでしょうか?もし、そう思う人がそれほど多くなくても、昨年のPISAの結果に対する反応を見ると、PISAの順位を上げることに夢中になる向きがあるように思うのですが・・・・・。

昨年のPISAの結果を報じた新聞にあったように、「読解力」や「考える力」を養うためには、新聞を読むことが良いという報道がありましたが、新学習指導要領には新聞を活用する内容があります。NIE関係者の間でも期待する声が多いようですので、私もNIEの実践者として、小学校・中学校に負けないように、今まで以上にいろいろと工夫をしていきたいと思っています。

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