2011年1月6日木曜日

『“20代、コネなし”が市議会議員になる方法』

今年は春に統一地方選挙があります。同じように、この春から新しい仕事につく人が多いわけですが、仕事の一つとして「市議会議員」を選ぶということは、現実にはほとんどありません。しかし、本書に出ているデータとして、全国地方自治体(市区町村)の2010年3月末時点での前回選挙の平均倍率が1.21倍、確率でいうと82.6パーセントであるという数字を見ると、単純に数字だけなら、かなり高確率でなれちゃう仕事って感じなわけです。本書の帯には、比較として例えば2009年度の警視庁警察官になれる確率が12.3パーセント、2010年度国家公務員Ⅱ種に合格する確率が8.5パーセントといった数字が出ています。市区町村議員は非常勤の特別職公務員ですから、市区町村議員は、数字上では他の公務員よりも、よほどなれる確率が高いわけです。

第1章 市議会議員になるのは無謀な挑戦じゃない!(市議会議員選挙では1.21人にひとりが当選!/地方議員は年配者ばかり。若者の代弁者がいな い! ほか)

第2章 出馬を決意したらさっそく活動開始!(出馬の決意。選挙まで半年あれば十分、間に合う!/地方議員に落下傘はない。立候補地はずば り地元! ほか)

第3章 いよいよ決戦の時!選挙戦スタート!(ついに選挙期間に突入!テンションを上げて盛り上がろう!/選挙活動は立候補届を出して から ほか)

第4章 若手議員・市長にインタビュー!選挙と議員生活の実際(20代で当選した議員の生の声から学べ!/インタビュー 自分ひとりで7種 類のチラシを配って当選!─埼玉県和光市議会議員・井上わたるさん ほか)

このように、本書はかなり細かく、市区町村議員への道を示してくれていますので、本書をマニュアルがわりにして立候補してみたら、もしかすると市区町村議員になれるかも、と思わせてくれます。

おまけに、2000年の地方制度改革で市区町村議員の権限が今までよりも拡大され、やり方次第では市区町村の運営を、市区町村長などにとって代われるほどの状況になっています。つまり今まで以上にやりがいがある仕事になってきていますので、夢を持つならば、おもしろい職業でしょう。

しかし、問題なのは非常勤であるがゆえに、給与ではなく報酬であるため、一般の人間が考えるほどお金がもらえないという点です。市区町村によってかなり金額にばらつきがありますが、平均月額報酬は30万4818円で、ここから所得税や諸経費が引かれるために、「その程度の金額で議員活動ができるのか?」と思うほどになってしまいます。正直言って、私では今の給料よりも大幅に下がってしまうので、お金の面だけを見ると、やりたいとは思えません。

本書は基本的にタイトルにもあるように、20代(あるいはそれに近い年齢)が夢や希望を持って、市区町村議員にやりがいを見出すというコンセプトなので、収入面での問題は解決されていません。
ですから、このあたりの問題をなんとかしないと、地域住民にとって一番身近な政治が一番最初にだめになってしまうことになり、結局やっぱり政治家はだめだってことになってしまい、夢や希望の持てない仕事になってしまいます。

ただこの先を考えると、このまま政治がダメなままでは困るわけです。特に生産人口が減少し、経済力が落ち込むのは確実なわけですから、その分政治力が必要になってくるわけです。中国がアメリカを抜いて世界一の経済大国になるかもしれない将来に向けて、日本では今から政治力をつけていかないといけないわけです。そのためには、「民主主義の学校」たる地方自治の部分から活性化していくことが大切なわけです。

まぁ、本書を読んで、本当に政治家を目指そうと思う20代はほとんど居ないとは思うのですが、少なくとも政治的な事柄がもっと身近なこととして意識していけるようになってもらいたいですね。その意味では、本書でも紹介されている「議員力検定」はおもしろいです。WEB版もあるので、ちょっとやってみようかなぁ。



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