2011年1月13日木曜日

就職難の学部選び

今週末はいよいよセンター試験です。
就職難に配慮して、理系や教員養成・看護系の希望が多く、法・経済学部の希望が少ないと傾向にあるという記事が、今日1月13日付け日経WEB版に「大学学部選び、にじむ就職難 教育・医学「資格」人気 法・経済はダウン」として出ています。

昔から不況時には、就職に有利とされる理系に人気がありますので、ここ数年は理系人気が続いていますが、今年も同じ傾向のようです。
理系人気はわかるのですが、教員養成系学部が人気があるというのは、いまいち納得がいきません。確かに団塊の世代の方々が大量に定年を迎えるここ数年は、教員の採用数もそれまでよりも多くなっている地域もあるようですが、それほど極端に採用が増えている訳ではありません。資格としての教員免許は、採用されなければ何の意味もない資格ですから、取っておけば役に立つというものでもありませんので、何故人気になるのかが理解できません。保護者の方々は何か勘違いしているのではないでしょうか。

団塊の世代の大量定年による人手不足を補う手段として、講師で補っているという地域が多いはずです。定年した先生方を再任用として来てもらったり、若い教員希望者を講師として来てもらったりして、正規の教員の不足分を穴埋めしているのです。再任用の方なら学校のことがよくわかっていますので来てもらう方としても安心ですし、若い教員希望者なら本人は修行のつもりでやってくれるので、いろいろなことをお願いできて、正直言って便利ですし、代わりの人間は多いですので、人材には困らないのです。

教員希望で教員養成系の学部に進学しても、採用試験の時にとんでもない倍率になるのは明らかなのですが、そこまで理解出来ていないのかも知れません。私が採用になった17、8年くらい前、バブルがはじけてその影響が出始めた時期ですが、確か100人くらい受けてたった3人しか採用されなかったりしました。さらにそのあとの時期はもっとすごい倍率になっていました。一時、多少良くなった時期がありますが、ここ数年の不況でまた人気が上がってきているようですので、採用試験はますます厳しい競争になってしまうわけです。優秀な人材が教員希望に回ってくる可能性が増えるという意味では良いのかも知れませんが、どうなんでしょう?

法学部は、新しい司法試験制度の関係で人気が落ちており、弁護士が過当競争になるといって敬遠しているようですが、確かにすでに過当競争になっていますので、その判断はただしいかもしれませんが、こちらの方へ優秀な人材が集まらなくなるというのは問題だと思います。逆に、人気が落ちているので、積極的な弁護士希望者には有利になるわけですが。

代ゼミ入試情報センターの統括本部長さんが、「経済学部卒でも良い企業に就職できる保証はない、と考える受験生が多い」と指摘していますが、どの学部でも、良い企業に就職できる保証などありません。「経済学部でもダメだから」という認識で経済学部を敬遠する受験生が多いのだとすると、彼らが就活するときは、昨年などよりももっと厳しい就活になるような気がします。

どうも受験生もしくはその保護者の認識は、全体的に間違っているような気がします。確かに経済的に厳しく、確実そうなところを選ぶ気持ちはわかりますが、その「確実そう」という判断が、かなり現状を踏まえていない、なんとなくの予測のもとでの判断が多いのではないでしょうか。数年後がかなり心配に感じるのは、私だけでしょうか。

まぁとにかく、今年のセンター試験の問題はどんな感じなんでしょうか。この週末は全国的に厳しい寒さになりそうですので、受験生のみなさん、カイロなど防寒対策を十分にして、天候の影響などで時間がかかりそうでも慌てずにすむように、時間にゆとりを持って会場に向かいましょう。

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