その「玉の井」の真実の姿を明らかにしようと、綿密な取材をもとに構成されているのが、本書です。
対象とされた時代は、「赤線」となった戦後の、移転後の「玉の井」ですが、関係者に聞き取りをした上で書かれた書籍ですから、戦後社会史、戦後風俗史としての価値がとても高い一冊になっています。
カフェーの経営者を丹念に調べ上げ、詳細なカフェーの実態を明らかにしているのは、もっと大きな「赤線地帯」ならまだしも、地元の自治体史ですら詳細には記載していない、東京の東の小さな元「赤線地帯」を、ここまで丁寧に調べ上げているのは他にはないでしょう。赤線地帯「玉の井」について、これ以上の本はありません。
本書を読んで、「赤線」の認識を新たにしました。大変勉強になった一冊です。
【一】玉の井との出会い
【二】玉の井とはどんな街だったか
【三】玉の井の経歴―戦前戦後
【四】赤線の成立と遍歴
【五】経営者について 【六】カフェーについて 【七】組合について
【八】カフェーの経営について
【九】女給について
【十】悲しい手紙
【十一】生活環境について
【十二】赤線廃止後の玉の井
【十三】その他の出来事、など
『玉の井 色街の社会と暮らし』 日比恆明著 自由国民社 2010年10月 2800円+税
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