2010年10月24日日曜日

『週刊金曜日』2010年10月22日 820号(その1)

メインは、11月28日に控えた沖縄県知事選挙にからんで普天間問題再燃、というものですが、私は「教科書があぶない2010」の小学校の新しい教科書と横浜市での自由社版中学校歴史教科書の記事に大変興味を持ちましたので、これをとりあげさせていただきます。

まずは、小学校の新教科書についての記事ですが、2008年3月の学習指導要領改定に伴い、検定制度も改正されたのは知っていましたが、具体的なことについては、この記事で初めて知りました。
授業数と学ぶ内容が増えることで、教科書もページ数が増加するのは当然ですが、「学力低下」を受けて、「理数教育の充実」のために算数と理科の教科書のページ数が特に増加し、さらに今までのB版からAB版になるとは、かなりの増加になるでしょうね。
現状でも小学校の先生方は忙しい日々を送っていらっしゃるのに、また新しい問題が浮上してきたわけで、小学校の先生方の胸中、お察しいたします。先生方が大変なら、そのしわ寄せは当然、子ども達に来るわけです(ウチの子、この先大丈夫か、かなり心配です)。

文科省の「教科書観を変える」、「必ずしもすべて取り上げなくて良い」との主張を見ても、「ゆとり教育」が完成するのだというのも、うなずけます。「ゆとり教育」の本当の狙いが格差教育であるということが、はっきりしたわけです。そして、現状はその文科省の狙いが、まずまずうまく進んできているわけで、これで完成させようとしているのです。
今まで現場の教員は「ゆとり教育」の言葉と、その実態とのギャップに翻弄されてきたわけですが、ある意味、その真の姿がはっきりみえたことによって、迷いはなくなるでしょう。文科省の狙いどおりに格差教育をするのかしないのか。義務教育とは何か、その原点に立ち返って考える必要があるでしょうね。

ただ、小学校新教科書、あまりにもお粗末で笑ってしまいました。国語では神話が登場するということで、一・二年生用には、「因幡の白ウサギ」や「ヤマタノオロチ」が登場するようですが、「因幡の白ウサギ」はいいとして、「ヤマタノオロチ」で一・二年生が何を学ぶのでしょうか?そのうち「天岩戸」とかが出てきて、「アメノウズメ」のように、胸をさらけ出し、スボンを陰部までおし下げて踊ることが、良いこととされるようになるのでしょうか(笑)
算数や理科でも伝統文化や道徳などを入れるのは、やりすぎでしょう。とくに算数の巻末問題で正解にたどり着き、「すなおのかぎ」、「せいぎのかぎ」、「友情のかぎ」、「希望のかぎ」を手に入れることができると、最終的には「未来というすばらしい宝もの」が手に入るって、ドラクエじゃないんだから(笑)でも、子ども受けはいいかもしれません。

その他もいろいろおもしろいのですが、社会科の教員としては、やはり社会が気になります。地域探検で神社を追加というのがありますが、これについては、今までなかったということを初めて知りました。神社とかは社会科ネタの宝庫と思っていたので意外でしたが、これは教員のやり方次第で、良くも悪くもなりますね。きちんと歴史を勉強している先生が担当すれば良い教材になると思いますが、小学校の先生方はお忙しので、ちょっと無理かもしれません。だとすると、あまり良くない教材なのかもしれません。
調べ学習の訪問先へのお礼、「終わったら、お礼をいう」って、当たり前なんですけど(笑)ある意味、こう言うのを学校で、それも教科書で教えるっていうのが、かなりひどいですけどね。こんなこと、家庭で教えるのが当たり前って思っているのは、古いんでしょうか?それとも、それだけ家庭の教育力がなくなっているんでしょうか?別の意味で問題ですね、これは。
ヤマトタケルの神話が全社で出てくるってのもすごいですね。もう戦前並ですね。ヤマト政権の呼称や天皇の役割などの点を見ても、戦前の「皇国史観」を彷彿とさせるものがあります。やっぱり、「少国民」をつくるためには、小学校での教育が大事ですからね。そのうち、「道徳」は「修身」になるんでしょうか?

小学校でこのような歴史を学べば、自由社版中学校歴史教科書は、違和感がないでしょう。もしかして、そこまで考えて新教科書はつくられているのでしょうか?
ということで、横浜市の自由社版の中学校歴史教科書の記事については、(その2)で。

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