2012年1月30日月曜日

岩田書院 新刊ニュースの裏だより No.726

主に歴史学、民俗学関係の出版社として、知る人ぞ知る岩田書院さんの、これも知る人ぞ知る「新刊ニュース裏だより」からです(岩田書院のHPはこちら)。

岩田書院さんは社長が唯一の社員、つまり「ひとり出版社」なのですが(『ひとり出版社「岩田書院」の舞台裏』という本も出ています)、社長の岩田さんは大学のゼミの大先輩なんです(岩田さんは、私のことなどご存知ないでしょうが)。

もともと、『地方史情報』(これも研究者の間では有名なものです)を申し込んだのですが、いつの間にか同封されてくる「新刊ニュース」の、まさに裏に書かれている「新刊ニュースの裏だより」(岩田さんのつぶやきみたいな感じです)を楽しみにするようになっています。もっとも最近は上にもリンクを貼ったように、岩田書院のHPにアップされていますが、やっぱり紙で来る方がなんとなく好きです。

で、今日の本題は、最近何枚か一緒にまとめられて送られてきたうちのひとつ、No.726「研究者人口1県1桁?」が気になったので取り上げます。

地方史研究協議会の会員名簿をもとに、会員数が1桁の県が18県あるということから、

この状況は、これらの県で地域史研究を支えているのが、大学の先生か、博物館の学芸員しかいない、ということを示しているのだろう。かつて郷土史研究を支えていたのは、高校の社会科の先生たちであった。この先生たちは、自分でも研究していたが、郷土クラブなどをつくって、子供たち(生徒たち)も引き込んで一緒になって勉強していた。
勉強する楽しさ、研究する楽しさを教えられるのは、教師みずからがそれを楽しんでいなければできないだろう。しかしいまの教育の現場では、それは許されないらしい。研究する暇があったら、教育しろ、ということだ。


と、おっしゃっている点です。

私も地方史研究協議会の会員で、静岡県は高校教員の研究者がまだ多い方だと思いますが、私よりも若手高校教員で、歴史系の研究をやっている人間を見たことがないのです。
また、高校の部活動として郷土研究部(郷研)が活動しているところはあまり多くない(というか、郷研が活動している学校を近隣では知らない)という状況なのです。

そもそも歴史教員、特に日本史の採用数が多くないという現実もありますが、私のように多少そういうことをやっている人間は、私あたりの世代が最後?という気がしているので、岩田さんの指摘がものすごく身にしみるんです。

来年度から東京都立高校で日本史が必修化されるらしいので、他の地域でもそういう動きに追従する地域がないかなぁとも思うのです。そうなれば、もう少し状況が改善されるかもしれないと思っているのですが、そういう動きはあまり見られないですね。

しかし、岩田さんがおっしゃっているように「勉強する楽しさ、研究する楽しさを教えられるのは、教師みずからがそれを楽しんでいなければできないだろう」と思うのですが。
本来学ぶことは新しいことを知ることができるので楽しいはずなのですが、今の高校教育はそうではなくなっていると思います。
教員同士の学習会もままならず、授業をただこなすだけでは、本当に意味のある教育はできないと思いますが、現実は日々の忙しさに追われるという、大変悲しい状況にあるのです。
しかし、それでは日本の教育はどんどんダメになってしまうと思います。教育こそ、未来をつくる大切なことだと思っていますので、この状況は由々しき事態だと思います。ただ悲しいことに、一教員がそう思っているだけではどうにもなりません。ですからせめてここで、その思いを愚痴らせてください。

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