2012年1月20日金曜日

『新しい世界史へ』(岩波新書)

昨日エントリーした大学入試センター入試の世界史Bについて、「大学入試の世界史の問題がこのようなもので良いのか、必修である今の高校世界史が現在の状態で良いのかについて、考える必要があるのではないかと思います。」とコメントしましたが、その心は本書を読んだからです。

私も前々から教科書の世界史の描き方に疑問を持ちながら教えていました。大学に行けば東洋史と西洋史にわかれるわけですが、せっかく「世界史」という教科名なのですから、名前の通り世界の歴史をもっと総合的に描けないかと。

当然、一高校教員ごときがそんな大それたことができるわけもないですし、そういう能力もないですからどうにもできないままだったのですが、ただどうにかして「新しい世界史」はないのかと考えていました。

そんなわけで本書を見て飛びつきました。本書における問題意識は私が思っていることとほぼ同じだと思います。

序章 歴史の力」の中で、まず「歴史には力がある。現実を変える力がある。人々に未来を指し示す力がある。この歴史の力によって、現代社会を覆う閉塞感を突き崩し、将来に向けての展望を手に入れられないだろうか。」と述べられています。歴史をやっている人間のほとんどがこう思っていると思います。

現代には現代が必要とする歴史認識があるはずだ。人々が自らの課題としてそれを真剣に議論し、新しい歴史認識を生み出そうとしたときに、それが力となって、時代の歯車が一つ回る。

そう、だから「新しい歴史」が必要なんです。

高校の学習指導要領の見直しは当然必要ですが、まずは本書のように「新しい世界史の構想」が必要です。その構想を持って世の中に提案していかなければ、変えることは難しいですから。

ただ、本書が提案している「新しい世界史の構想」は、私にとってはいまいちイメージがわきません。私の能力のせいもありますが、「新しい世界史の構想」はまだ充分ではありません。本書の提案をたたき台に、いろんな人間が議論する必要があるでしょう。

そのためにも、まずは多くの方が本書をお読みいただいて、議論のきっかけを持って欲しいと思います。

羽田正 『新しい世界史へ-地球市民のための構想』 岩波新書1339 2011年11月初版 760円+税



新しい世...
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著者:羽田正
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