2010年11月26日金曜日

伴野準一『全学連と全共闘』(平凡社新書)

近年、書店には60年代に関する書籍が多いように感じます。
学生運動に関係した学生たちも、70歳前後になっていて、中にはすでに故人の方もいらして、直接話しを聞けるのは今が最後だということでしょう。その意味では、いま出ている書籍は出来る限り読んでおきたいですね。

本書は東京大学全共闘の学生たちの動きを主に扱っています。

第1章 希望が生まれた町─すべては砂川町の基地闘争から始まった
第2章 ターニングポイント─反戦平和から革命運動へと向かう学生たち
第3章 歌に 託した明日─学生たちが真の前衛党「ブント」を結成
第4章 新婚さんと愚連隊─希望に満ちた日々に安保改定の足音が近づく
第5章 求めよ、さらば与え られん─一一・二七、国会へ初の突入!安保闘争が幕を開けた
第6章 天国への扉─革命的騒乱とともに安保闘争はクライマックスを迎える
第7章 時代は 変わる─安保闘争を忘れた大衆、漂泊する運動家たち
第8章 怒りと省察、そして暴力─安田講堂攻防戦が意味したもの
第9章 美しい東大の私─苦悩深ま る東大生たちの闘争の真実
第10章 敗れざる者たちの詩─革命運動はやがて狂気へと堕ちていった
終章 二一世紀のシュプレヒコール─革命家たちが見た 夢、革命家たちの今 


あの時代は一体なんだったのか、その時代を知らない人間には全くわからないのですが、どうしてあんなにも盛り上がったのかが、本書を読むととても良くわかります。
60年代の運動が徐々に変質していき、70年代の「間違った」方向に向かっていったのは、何故だったのか、当事者にしかわからないことを、関係者への取材から、丹念に解き明かしています。

おそらく、あの時代のような盛り上がりはもう二度と無いのではないかとは誰もが思うでしょうが、逆にその時代を知らない私にとっては、その空気を感じたかったという思いがとても強くあります。特に昨今の政治の有り様を見ていると、国民がもっとしっかり政治を見ていかなければならないという思いが強いので、60年代の盛り上がりが、ある意味うらやましいとさえ感じます。
本書を読んで、そんなことを思いました。

本書はコンパクトながら、60年代の基本事項がきちんとまとめられていて、入門的な通史として読みやすいと思います。特にブントについてよくわかります。この本、おすすめです。

伴野準一『全学連と全共闘』(平凡社新書)2010年10月初版




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